AIの成長が著しい近年、中でもAIによる画像認識は急速に精度を高めており注目を集めています。
今回のテーマはAIを活用した画像認識技術。
この記事を読むことで、以下の点について理解を深めることが可能です。
AIを活用した画像認識とはどのような技術なのか
AI画像認識の仕組み
AI画像認識が活用されている実際の事例
今後ますます注目度が高まると考えられるAIについて知りたい方の参考になれば幸いです。
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AIを活用した画像認識とは
AIを活用した画像認識と言ってもあまりイメージが沸かない方が多いのではないでしょうか。
しかし、AIによる画像認識技術は予想以上に身近な場面でも活用されています。
画像認識とは、画像に映る人物や物体を認識する技術のこと。
人間はこれまでに学習して蓄積した知識から、画像に写っているものが何なのかを理解することが可能です。
これと全く同じことをコンピュータが行うのを可能にしたのが、今話題のAIテクノロジーです。
要は、AIのパターン認識、機械学習を組み合わせることにより、何がその画像に写っているのかをコンピュータが判別できるようになったのです。
ここからは、AIを活用した画像認識について、さらに詳しく解説します。
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画像認識の歴史
市場予測の改善
画像認識が利用されている背景
AIを活用した画像認識は、なぜ近年広い分野で利用されるようになったのでしょう。
以下は、AIを活用した画像認識のサービスや製品の市場規模の推移を示すデータです。
出典元:デロイトトーマツミック経済研究所「AI(ディープラーニング)活用の画像認識ソリューション市場の現状と展望【2022年度版】」
このデータから、いかに画像認識市場が拡大の一途を辿っているかは一目瞭然。
背景として考えられるのは、現代社会における労働力不足や働き方改革です。
少子高齢化により労働力が不足すれば、その分を補うための代役が必要となります。また、働き方改革では、いかにして長時間労働の問題を解消するかが重要。ここで必須となるのが業務効率化です。
AIによる画像認識を活用し、これらの問題解決を狙う動きは、年々活発化しているのです。
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画像認識の歴史
画像認識は近年生まれた新しいテクノロジーではありません。画像認識自体の歴史はとても古く、さかのぼること80年以上。
1940年に生まれた画像認識技術「バーコード」は、画像認識の中でも最も古い技術です。
バーコードを画像認識と言うと違和感を感じるかもしれませんが、バーコードは画像のパターンを読み取り情報を得る仕組みであるため、画像認識のひとつと言えます。
また、2000年代以前の画像認識として知られていたのが「テンプレートマッチング」です。
テンプレートマッチングとは、テンプレート画像をもとに、新たに認識させる画像のどこに対象となる物体が写っているのかを抽出する技術のこと。
テンプレートマッチングでは、画像に写るものの位置を検出することが可能でした。
しかし、一方で照明変化や形状変化に左右されやすく精度が安定しない点や、対象物ごとにテンプレートが必要な点が、テンプレートマッチングの大きなデメリットだったのです。
その後、2000年に入りデータ処理速度や機械学習の精度が高まるにつれ、画像認識で大量の画像データを用いることが可能になり、徐々に総合的なクオリティを高めてきた画像認識。
その後2012年には、ディープラーニングの技術が新たに登場し、画像認識の領域を著しく発展させることに成功。
今では、人間並みの正確さとスピードで、画像からさまざまな情報を検出できるほどに精度を高めています。
画像認識の種類とアルゴリズム
画像認識にはさまざまな種類があります。なぜなら、どのような画像を取り扱うかで、検出する内容も異なるからです。
画像認識の種類は以下の6つに分けられます。
画像のどの部分に対象の物体や人物が写っているかを検出する技術
対象となる物体や人物が画像内に写っているかどうかを検証する技術
画像に写る状況や状態の説明を文章に起こす技術
画像のピクセルがどの物体カテゴリに属するかをもとに分類する技術
人間の顔の識別や、似た顔をグループ化する技術
画像内の文字を判別し、テキストを抽出する技術
また、画像認識におけるアルゴリズムについても複数の種類が存在します。ちなみにアルゴリズムとは「問題解決に至るまでの方法や手順」のこと。異なるアルゴリズムに問題解決させる場合に導き出される回答は同じですが、プロセスが異なります。
ここでは例として、機械学習による画像認識に用いられるアルゴリズムの一例を紹介します。
1. 決定木(ディシジョンツリー)
教師あり学習の分析方法を使用し、主にマーケティング分野における売上予測などに活用される。
2. ランダムフォレスト
計算のスピードが早くかつ精度が高いのが特徴。こちらもよくマーケティング分野における売上や購入予測に活用される。
3. ロジスティック回帰
2値分類に利用できるのが特徴。2値分類とは、対象となる物体や物質、人物を2つの事象のどちらに属するかを判別する分類方式。
ロジスティック回帰はマーケティング分野や医療分野で活用されるケースが多く、またスパムフィルタにも使われている。
4. ナイーブベイス
高速学習が可能で実装が簡単なのが特徴。リアルタイム予測やテキスト分類に活用されている。
AI画像認識の仕組み
ここからは、AIによる画像認識がどのようにして行われるのか、その仕組みについて詳しく解説します。
特徴量抽出
分類
前処理
AIが画像認識する際には、前処理が必須となります。前処理をすることで、AIが画像を読み取りやすくなるからです。
AIは画像をピクセルの集合体として把握するため、まずは画像をピクセル単位で解析しやすい形式に変換する必要があります。
具体的には、画像のノイズや歪みの除去、明るさや色調の調整などが前処理で行われます。
これらの前処理はAIが行うものであり、私たち人間が行うステップではありません。
特徴量抽出
前処理が済んだら次は画像から特徴量を抽出します。特徴量とは、対象となる物体の特徴を数値化したもののこと。
画像認識における特徴量とは、画像データ中の色合いや明るさなどを表すピクセルのパターンのことです。
AIの画像認識では、これら特徴量を抽出することで、画像に何が写っているのかを認識しています。
分類
AIの画像認識では、事前に膨大な画像データを用いて物体や人物のパターンを学習させています。
それらの蓄積されたデータと抽出した特徴量を照らし合わせ、画像に写っているものが何なのかを特定します。
AI画像認識の活用事例
AIによる画像認識は多くの分野で幅広く活用されていますが、具体的にどのような活用事例があるのかも知っておくと良いでしょう。
ここでは、AI画像認識の活用事例を以下の3つの分野に絞って紹介します。
製造業
小売業
それぞれ同じAI画像認識を活用した事例でありながら、用途がまるで異なる点が特徴です。
では、活用事例を紹介していきましょう。
医療分野での活用事例
医療分野における活用事例として有名なのが、順天堂大学大学院医学研究科次世代血液検査医学の木村考伸大学院生らによる研究グループの事例です。
さまざまな疾患の血液細胞画像をAIの画像認識機能を活用しておこなうことで、血液細胞を高精度で自動識別することが可能になりました。
このAI自動分析を活用することで、これまで人間の手でおこなわれていた血液形態検査の自動化や、スクリーニング診断支援の実用化につながると期待されています。
製造業での活用事例
製造業では、品質管理や安全管理などさまざまな業務にAIが導入されるようになりました。
自動車メーカーAudiでは、工場での部品のひび割れ検査にAIを活用。目視による確認では見落とすリスクが常に付きまとうのに対し、AIは圧倒的に優秀でした。
まずはAIに膨大な「ひび割れ画像」を学習させ、ひび割れを自動的に検知できるシステムを開発。ひび割れ検査にかかる時間は格段に短縮され、業務効率化を実現しました。
小売業での活用事例
AIの画像認識は、小売業における商品認識や顧客分析などにも活用されています。
例えば、株式会社Flow Solutionsでは来店客数のカウントや店内での顧客の行動把握にAIの画像認識を活用。
これにより、来店した顧客の人数はもちろんのこと、来店後の顧客の導線を細かに把握できるようになりました。
それらのデータを元に、商品陳列を工夫することで、より適切な商品配置が可能になり売り上げUPにつながります。
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今回の記事では、AI画像認識にテーマを絞り、どのようなことができるAIなのか、具体的にどのように活用されているのかについて詳しく解説しました。
画像認識といっても、単に画像に映り込むものを判断するというだけにとどまらず、そこから分析したデータはさまざまな用途に活用できることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
私たちの毎日にも、AI画像認識は想像以上に多く関わっています。今後ますますの発展が期待される画像認識AI、これからも目が離せません。