2022年11月30日にアメリカのOpenAI社がChatGPTをリリースし、大きな話題となり登録者数がわずか1週間で100万人、2ヵ月で1億人を突破しました。
ChatGPTはAIを活用したチャットボットサービスで、回答の精度の高さが最大の特徴です。
ただ、必ずしも正しい回答が得られるわけではなく、精度は質問や命令を行う際に入力するテキストであるプロンプトの質に比例します。
今回のテーマは、ChatGPTのプロンプト活用法。
ChatGPTのプロンプトについて知りたい方、ChatGPTから有効な回答を得たいと考えている方の参考になれば幸いです。
ChatGPTのプロンプトとは
ChatGPTのプロンプトとは、命令や質問を行う際に入力するテキストのことです。
どのようなプロンプトを入力するかにより、ChatGPTから得られる回答の質が変わるため、プロンプトはとても重要。
ここでは、ChatGPTやプロンプトの概要について詳しく解説します。
プロンプトとは
ChatGPTのプロンプトの特徴
ChatGPTとは
ChatGPT(チャットジーピーティー)とは、AIを活用したチャットボットサービスのことです。
アメリカのOpenAI社が開発したChatGPTでは、まるで人間のような自然な対話が可能。ユーザーが入力した質問や回答に対し精度の高い回答を得られます。
多くの方から注目を集めたChatGPTは、2022年11月に公開された後、2ヵ月でユーザー数が1億人を突破しました。
Open AIには、イーロン・マスク氏をはじめ多くの実業家達が出資をしており、2023年にマイクロソフトも数十億ドル規模の投資をする方針を発表しています。
ちなみに、GPTとはGeneral Purpose Technologyの略称で、小説やゲームの会話文などを生成する用途で開発されたもの。
インターネット上の膨大な情報を学習し、複雑な文章の理解や作成ができるChatGPTですが、具体的な活用方法としては下記があげられます。
◾️|雑談や相談
◾️|情報収集や調べもの
◾️|作成したテキストの校正
◾️|テキストの要約
◾️|テキスト翻訳
◾️|Excelの関数・VBAコード作成
◾️|プログラミング
◾️|アイディア出し
◾️|メール文面の作成
◾️|問題や小説・歌詞の創作
また、過去の会話の内容を記憶し、より自然な会話が実現できる機能が搭載されているため、今後さらなる性能の向上が期待されています。
バージョンアップも行われており、公開当初はChatGPT-3でしたが、2023年2月にChatGPT-3.5、2023年3月にChatGPT-4がリリースされました。
さらに、金融ソフトのスタートアップであるRunway社の創業者Siqi Chen氏によれば、2023年第4四半期にはChatGPT-5がリリースされる予定。
現行のChatGPTには、回答の精度やリソースが不明確な点など一部問題がありますが、今後のバージョンアップにより、さらに精度や利便性が向上すると見られています。
≫≫ Chat GPT(チャットGPT)とは?基礎知識から使い方まで徹底解説
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プロンプトとは
プロンプトとは、システムにおけるユーザーからの入力や情報を受け付けるインターフェースのことです。
具体的には、パソコンで操作をする際のカーソルなどの記号や短い文字を指し「ここから入力してください」という意味のマークが該当します。
プロンプトは、ユーザーがコンピュータに指示を行う際に、何を入力すべきかや入力待ちであることを示すもの。
例えば、コマンドラインインターフェース(CLI)のプロンプトは、ユーザーがコマンドを入力すれば、ファイルの操作やプログラムの実行などを行います。
ChatGPTのプロンプトの特徴
ChatGPTのプロンプトとは、ChatGPTに命令や質問を行う際にユーザーが入力するテキスト情報のことです。
具体的には、下記のような文章があげられます。
ChatGPTを宣伝するメールを500文字程度で作成してください。
ChatGPTの回答の精度を高めるテンプレートを作成してください。
ChatGPTは、入力されたプロンプトにもとづいて回答を生成します。
どのようなプロンプトを入力するかにより、ChatGPTからの回答の精度が変化するため、プロンプトは非常に重要。
適切なプロンプトを設定すれば、より精度の高い回答を得られます。
ChatGPTのプロンプト活用法の基本テクニック
ChatGPTで質の高い回答を得るためには、適切なプロンプトの設定が重要です。
プロンプトは、簡潔にわかりやすく、日本語の文法や誤字脱字などのミスがないテキストを入力をするのがポイントです。
長文でわかりにくいプロンプトを入力すると、ChatGPTが認識できず回答を得られないなどのエラーの原因になります。
簡潔にわかりやすく、ミスがないように意識した上で、適切な情報と具体的な指示などを入力すれば、ChatGPTの回答の精度が向上します。
ここから、下記ChatGPTのプロンプト活用法の基本テクニックについて、詳しく解説します。
下記を理解し、ChatGPTを有効活用しましょう。
適切な情報提供でのプロンプト活用
質問形式でのプロンプト活用
プロンプトの明確な指示
ChatGPTのプロンプト活用法の基本テクニック1つ目は、明確な指示を出すことです。
ChatGPTに曖昧な質問や命令をしても、曖昧な回答しか得られません。
プロンプトが明確であればあるほど精度の高い回答を得られるため、質問や命令内容だけでなく、条件なども指定すると良いでしょう。
明確な指示や付与する条件として、例えば下記があげられます。
◾️|回答の種類を指定する
例えば「YesかNoで回答してください」「詳細な回答を教えてください」などが該当します。
回答の種類を指定すれば、ユーザーが欲しい情報を得られる可能性が高まります。
◾️|回答の形式を指定する
例えば「500文字以内で要約してください」「箇条書きで回答してください」など、どのように回答が欲しいかを指定します。
また、利用目的に応じ「PREP法で」「SEOを意識して」などの条件を指定するのも効果的です。
◾️|回答の品質を指定する
例えば「小学生でもわかる文章で」「スリリングな小説を」などが該当します。
◾️|回答の対象を指定する
例えば「小学生に説明してください」「30代の男性ビジネスパーソンに説明してください」などが該当します。
つまり「ChatGPTのポイントを教えてください」とするのではなく、上記をもとに「ChatGPTのポイントを500文字程度で、小学生がわかる詳細な情報を教えてください」と変更するイメージです。
適切な情報提供でのプロンプト活用
ChatGPTのプロンプト活用法の基本テクニック2つ目は、適切な情報提供をすることです。
適切な情報がなければ、ChatGPTも精度の高い回答をすることができません。
例えば「サブスクリプションのメリットについて教えてください」という質問は、ユーザー(利用者)にとってなのか、企業側(提供者)にとってなのかで回答が異なります。
上記の場合、どの立場で回答をしてほしいかなどを指定するのが大切です。
特に、専門的な質問や命令をする場合は、下記のように具体的な専門家を指定するのも有効です。
あなたはプロのWebライターです。ChatGPTのプロンプトのポイントに関する記事を、1,000文字程度で作成してください。
また、質問の背景や情報を提供するプロンプトも有効です。
具体的には「60分でお菓子を作る必要があります。簡単に作れるお菓子を教えてください」のようなイメージです。
質問形式でのプロンプト活用
ChatGPTのプロンプト活用法の基本テクニック3つ目は、質問形式を活用することです。
質問をする際は、下記のようなフレーズを活用し質問の種類やゴールが何かを具体的に示すのが重要です。
○○をするには、どうしたら良いですか?
何が理由で○○なのですか?
また、ChatGPTの回答に満足できなかった場合、続けて質問するのも有効です。
追加で質問したり、情報を入力したりすれば、より精度の高い回答を得られるケースもあります。
ChatGPTは、前の質問に続けて別の質問をすると、それまでの文脈や内容をもとに回答してくれます。
例えば下記のようなイメージです。
具体的な例はありますか?
他にも方法はありますか?
ChatGPTのプロンプト活用の具体的なテンプレート例
これまで解説した通り、ChatGPTで適切な情報を得るためには、質の高いプロンプトの入力が大切です。
プロンプトは、多くの研究がなされており「プロンプトエンジニアリング」といわれる学習分野や「プロンプトエンジニア」という職種が誕生したほど。
プロンプトの作成方法を学習するサービスも提供されています。
つまり、学習分野や職種・学習するサービスが生まれるほど、プロンプトは重要なのです。
各個人が研究・開発したプロンプトには、テンプレートとして公開されているものもあります。
ここからは、下記ChatGPTのプロンプト活用における3つのテンプレートについて解説します。
下記3つを上手に活用し、ChatGPTの潜在能力を引き出しましょう。
比較検討型テンプレート
アドバイス型テンプレート
問題解決型テンプレート
まず、問題解決型テンプレートについて解説します。
問題解決に利用できるテンプレートとしては、ReActプロンプトがあげられます。
ReActプロンプトは、「Reasoning(行動理由の推論)」と「Acting(推論に基づいた行動)」を組み合わせたもの。
具体的な、ReActプロンプトのテンプレートは下記の通りです。
Thought :
Action :
Observation :
入力が非常にシンプルながら「推論」と「行動」を交互に繰り返し、問題を解決するための回答をしてくれます。
「文章」の部分だけ入力すれば良いため、簡単に活用可能。
問題解決だけでなく、さまざまなシーンで利用できます。
比較検討型テンプレート
続いて、比較検討型テンプレートを解説します。
比較検討型テンプレートは下記の通りです。
比較するもの(製品・サービス・アイディア)B: Bの情報
比較のポイント:
・○○(料金・性能・実現性 など)
・○○
・○○
比較するものの特徴と、何を比較して欲しいかを入力すれば、ChatGPTから回答が得られます。
また、さらに条件をつけ自分が望む回答に近づけたい場合は、下記にするのも有効です。
下記条件にもとづき、比較してください。
#背景
○○(比較する背景を入力)
#比較する対象
・Aの情報
・Bの情報
#比較のポイント
・○○
・○○
・○○
#出力形式
・○○(表形式、箇条書き、小学生でもわかる言葉で など)
・○○
前述の通り、入力事項がより具体的で細かくなるほど、自分が欲しい情報を得られる可能性が高まります。
ただし、箇条書きなどで整理しながらシンプルに入力するのも大切です。
長文や複雑な文章が続くと、ChatGPTの読み取りに負担がかかり、エラーで回答が得られない原因となります。
アドバイス型テンプレート
有名なプロンプトの一つとして「深津式プロンプト」があげられます。
深津式プロンプトとは、noteのCXOを務める深津貴之氏が2023年2月9日に発表したもの。
汎用性が高くさまざまなシーンで活用でき、アドバイスを得たい場合も利用可能です。
具体的なテンプレートは下記の通りです。
あなたは○○(例:プロのウェブライター、弁護士、トップセールスパーソン)です。
以下の制約条件と入力文をもとに○○(アドバイスを欲しい事項)を出力してください。
# 制約条件:
•○○(制約条件を記載する)
•○○(例:簡潔に。)
•○○(例:小学生でもわかるように。)
•○○(例:700文字以内で。)
# 入力文:
○○(入力文を記載する)
# 出力文:
前述の通り、上記深津式プロンプトはアドバイスが欲しいシーンだけでなく、他のシーンでも活用できます。
命令書や制約条件、入力文を上手に書き換えて利用してください。
深津式プロンプトを活用する際のポイントは、下記の通りです。
◾️|ChatGPTの役割を明確にする
◾️|ChatGPTが誰なのか、役割を命令書で明確に定めます。
◾️|入力文から出力文を作ることを明確にする
◾️|入力文にもとづき出力文を作る流れを示します。
◾️|何を出力して欲しいかを具体的に定める
◾️|プロンプト活用法の基本テクニックでもお伝えした通り、具体的に何を出力して欲しいかを定めます。
◾️|マークアップ言語を活用し、本文に該当しないテキストを明確にする
◾️|ChatGPTが理解しやすいよう、マークアップ言語を活用し整理します。
◾️|制約条件などの命令は箇条書きで明確にする
◾️|制約条件はもちろん、必要に応じて命令書や入力文も、箇条書きでChatGPTが読み込みやすいように整理します。
◾️|条件を具体的に定め、ChatGPTからの出力をコントロールする
◾️|制約条件で、具体的にどのように出力して欲しいかなどを定めます。
まとめ
今回の記事では、ChatGPTやプロンプトの概要、ChatGPTのプロンプト活用法の基本テクニック、具体的なテンプレート例について、詳しく解説しました。
ChatGPTは、回答精度の高さが一つの魅力で、多くの注目を集めているAIを活用したチャットボットサービスです。
ただ、回答が必ずしも正しいわけではなく、回答の質はプロンプトと呼ばれる質問や命令のテキストで変わります。
ChatGPTの回答の精度を高めるための、プロンプト活用法の基本テクニックは以下の通りです。
2. 適切な情報提供でのプロンプト活用
3. 質問形式でのプロンプト活用
今回の記事で解説した具体的なプロンプトテンプレート例も活用し、ChatGPTをより有効活用してください。