2023年5月現在、ChatGPTの登場から半年が経過しました。
日本では1月頃よりテレビを中心とした様々なメディアで話題になったことで、その存在を知ったという方も多いのではないでしょうか。
画面の向こうに人間がいるのかと錯覚してしまうほど、自然で的確な文章のやり取りが実現したことは、本格的なAI時代が到来したと感じさせられます。
日本はChatGPTの利用者数が世界でも上位3位に入っており、日々仕事やプライベートに活用している人が多いことが分かります。
それでも、全国民がその能力を肌で実感したとはまだ言い切れない状況でしょう。
スマートフォンが未だ100%普及していないことと同様に、新しい技術は長い年月を掛けて世間に浸透していきます。
即座に全人類が利用を開始しない理由は、やはり様子を見てからという気持ちや、新しいものに懐疑的な気持ちがあるからだと考えられます。
さらに、利用料金といった側面に対して不安を覚える方もいらっしゃるでしょう。
結論からお伝えすると、ChatGPTは無料で利用できます。
しかし、2023年3月には月額20ドル(約2,700円)というプランが登場したことで、両者の違いが一見複雑になり、新規参入の障壁を少し高めたといえるかもしれません。
そこで、本記事ではChatGPTに関する基本的な概要に加えて、利用料金から決済方法、さらに無料版と有料版の違いについて一挙に解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
ChatGPTの基本情報
ChatGPTはアメリカの「Open AI」という企業によって開発されました。
2023年に入ってから大きく注目を集めたAIですが、実はそのモデルとなるAIは2020年時点から存在していました。
当時は「GPT-3」と呼ばれるAIであり、現在のChatGPTと同じく人間が書くような自然な文章生成が可能でした。
しかし、インターネット上の情報から出力される文章には、内容に差別的なものや倫理観に欠ける部分が目立ち、実用的ではないと判断されていました。
そこで、言語モデルに改良を施した「InstructGPT」が2022年1月に登場します。
「Instruct」とは日本語で「指示する」といった意味合いの単語であり、AIが生成する文章内容において、不適切な部分を人間の手で直接書き換える作業を行ったのです。
そして、人間が最も好む文章表現をランク付けし、高い点数の文章のみを書き記すように誘導します。
結果的に、自然でありながらも適切な表現を瞬時に出力することが実現しました。
その完成モデルが、現在話題になっている「ChatGPT」なのです。
≫≫ Chat GPT(チャットGPT)とは?基礎知識から使い方まで徹底解説
≫≫ ChatGPTの仕組みをわかりやすく解説!今後どうなる!?
ChatGPTの使い方
ChatGPTで行えること
ChatGPTを一言で言い表すとすれば、「自動文章生成AI」です。
友人とLINEやメールする感覚で、ChatGPTとの会話がテキストベースで行えます。
そのため、テキストを通じて行えることは一通り対応しています。
主に利用されている方法としては、以下の内容があげられます。
◾️|情報収集
◾️|会話や相談
◾️|コーディング
ChatGPTはインターネットからの情報を元に、ユーザーに対してテキストを通じて返答します。
つまり、「東京でおすすめの観光地はどこ?」や「じゃがいもと人参で作れる料理は?」などを質問するだけで、適切な返答を得られるのです。
ブラウザ検索を元に多くの情報から取捨選択する必要がなくなりますので、情報収集の効率が圧倒的に向上します。
また、日常の何気ない会話にも対応しており、人に相談しにくい内容を聞いてもらうことも可能です。
悩みに対する対策なども提案してもらえますので、気分が落ち込んだ時などに気軽に話を聞いてもらえるカウンセラー的な役割も担えます。
そして、文章を利用することは人間が利用する言語だけではなく、プログラミング言語にも対応しています。
HTMLやCSS、JavaScriptからエクセル関数といった幅広い部分において適切なコードを生成してもらえるのです。
コード内のバグチェックも可能ですので、エラーへの対処もあっという間に行なえます。
プログラミング知識がなくともコーディングが行えることも、ChatGPTを利用する大きなメリットの1つといえるはずです。
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ChatGPTの使い方
ChatGPTの利用方法は主に、ブラウザ版とアプリ版の2パターンが存在しています。
アプリについては2023年5月26日、iPhone版が日本でもリリースされましたが、Android版には未対応となっております。
利用に関してはユーザー登録の必要がありますが、この段階で利用料金は発生しません。
登録についてはEメールアドレス、電話番号を入力するだけですので、短時間で利用開始できます。
その後は、チャット画面に移行しますので、登録開始から数分で実際にChatGPTを利用できる環境が整います。
必要なものはEメールアドレスと電話番号のみと、複雑な工程は一切ありません。
≫≫ ChatGPTのインストール方法とは?手順から正しく命令するコツを紹介
ChatGPTの基本料金
前述した通り、基本的にChatGPTの利用は無料で行えます。
しかし、2023年2月には有料版も登場し、それぞれによって性能に差が生まれました。
無料、有料モデルについて、それぞれの違いを詳しく解説していきます。
【有料版】ChatGPT Plus
【無料版】ChatGPT
2023年1月頃に大きく注目されたChatGPTは、現在の無料モデルでした。
「GPT-3」、「InstructGPT」というベースモデルから進化したことから、「GPT-3.5」と呼称されることもあります。
基本的な性能や出来ることについては、前述したように文章生成や情報収集がメインとなります。
無料モデルとはいえその性能は従来のAIと比較しても高く、過去には司法試験の模擬問題を人間の受験者下位10%程度というスコアを残しています。
具体的なデータについて、以下にまとめてみます。
◾️|応答数は一度に1つ
◾️|1分辺り最大60リクエスト
◾️|最大で2,048文字の入力が可能
◾️|最大クエリ数は4,000
◾️|英語に対応
プライベートでの利用など頻繁に使う機会がないといった方であれば、十分過ぎる機能を持っているといえます。
無料版の利用は前述したEメールアドレス、電話番号の登録を行うだけですぐに利用可能となります。
一点、注意しなければいけないポイントとしては、提供される情報が全て正確であるとは限らない部分です。
必ずファクトチェックを行うことが重要です。
しかし、ChatGPTの能力を身近に感じたい、作業の補助としてたまに活用したいといったシーンであれば、十分に対応できる能力を持っています。
≫≫ ChatGPTのビジネス活用!企業の導入事例からアイデアを含めて10個紹介
【有料版】ChatGPT Plus
2023年3月14日にリリースされた「ChatGPT Plus」は、全モデルと比較して「GPT-4」と呼ばれています。
つまり、「GPT-3.5」よりも進化しているということです。
前回モデルが法試験の模擬問題を人間の受験者下位10%だったことに対して、「GPT-4」はなんと上位10%に入る結果を残しています。
回答する内容の精度が圧倒的に向上していますので、情報収集といった用途に最適といえます。
大量の質問を繰り返すシーンや、日々頻繁に利用する場合において、この短縮は作業時間に大きく影響するはずです。
具体的なデータについては、以下のように刷新されています。
◾️|応答数は複数に対応
◾️|1分辺り最大600リクエスト
◾️|最大で4,096文字の入力が可能
◾️|最大クエリ数は100,000
◾️|英語だけではなく多言語に対応可能
言語についてはフランス語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語、ポルトガル語、中国語、韓国語と無料モデルと比較して圧倒的です。
そのため、翻訳に活用したいと想定する場合は、有料モデルの利用が最適だといえます。
そのため無料モデルでは物足りない方や、常に利用した作業を想定している方などは、有料モデルを利用することをおすすめします。
月額料金については20ドル(約2,700円)という設定ですが、支払ってでも利用する価値のある能力を有しているといえます。
≫≫ ChatGPT有料版「ChatGPT Plus」がリリース!無料版との違いと利用料金を解説
ChatGPTの決済方法と解約方法
有料プランである「ChatGPT Plus」について、決済方法と解約方法について解説します。
ChatGPTの解約方法
ChatGPTの決済方法
有料モデルの利用については、まず無料版への登録が必要になります。
2. Upgrade to Plusをクリック
3. ChatGPT Plusへアップグレード
4. クレジットカード情報を入力し、申し込むをクリック
利用画面の左下に、「Upgrade to Plus」というリンクがありますので、そちらに進みます。
その先で、「ChatGPT Plus」へのアップグレードが選択できます。
決済方法については現状、クレジットカードのみに対応しております。
ECサイトへの登録と同様にカード情報を入力後、規約等に同意をして進めていきます。
最終的に「申し込む」をクリックすれば、あっという間に有料モデルへの移行が完了します。
「ChatGPT Plus」では「GPT-3.5」、「GPT-4」のどちらを利用するか選択出来るようになっており、後者の方がより高性能なモデルとなっています。
ChatGPTの解約方法
有料モデルは月額20ドル(約2,700円)のサブスクリプション形式が採用されています。
そのため、利用しなくなっても契約している限り毎月決まった金額が発生してしまいます。
2. My accountからManage my subscriptionに進む
3. プランをキャンセルをクリック
解約については登録同様に難しい手続きは必要なく、「My account」から「Manage my subscription」へと進み、「プランをキャンセル」をクリックするだけで完了します。
解約については、更新日の翌月までであれば、いつでも実施が可能です。
しかし、「ChatGPT Plus」の登録はキャンセルできませんので、キャンセル後の返金対応は受け付けておりません。
解約タイミングについては確認を行い、損しないように進めることをおすすめします。
ChatGPTとChatGPT Plusの違い
無料モデル、有料モデルの違いについては前項で簡単に触れましたが、以下の項目に沿ってより具体的に解説します。
回答速度のスピード
新機能や改良点を優先的に使用が可能
優先的にアクセスが可能
ChatGPTへの注目が急激に集まった当初、そのアクセス数の多さから回答速度が著しく低下するという事態が発生しました。
特定のサーバーを経由して回答を行うため、あまりにも処理する内容が多くなった場合、どうしても回答速度が落ちてしまうのです。
これはChatGPTに限らず、中央集権的なWebサービスであれば一般的に起こりうる出来事です。
WebページやSNSにアクセスが集中した結果、サーバーダウンに至ったというケースも少なくありません。
しかし、有料モデルであれば混雑時にも優先したアクセスが提供されます。
時間帯を問わず安定した速度を維持できることは、作業を円滑に進める上でも重要な要素です。
また、アクセスだけではなく問題や懸念事項に対する対応についても、無料モデルを利用しているユーザーと比較して優先的に行ってもらえます。
ビジネスパートナーとしてChatGPTを利用するのであれば、優先的なアクセスやサポートは必須条件といえるかもしれません。
回答速度のスピード
回答速度の体感スピードはchatGPT Plusが圧倒的に早いです。
ある調査では、簡単なプロンプトに対する返答時間について、以下のような差がでました。
◾️|無料モデル:約50秒
◾️|有料モデル:約20秒
速度については質問内容の文字数に応じて、さらに差がつくことが考えられます。
日々多くの問答を行うシーンであれば、この30秒という差は大きく影響します。
また、日本語ではなく英語の場合は回答速度はより速くなります。
そのため、英語での利用を考えている場合には、速度向上の恩恵をより強く受けられるはずです。
新機能や改良点を優先的に使用が可能
ChatGPTは完成されたAIではなく、今後も続々と新機能の搭載が予定されています。
しかし、全ユーザーを対象とするのではなく、有料モデルの利用者を優先的に、もしくは限定して利用可能とする可能性が高いです。
2023年5月には、Webブラウジング機能が有料モデルに追加されました。
これはChatGPTの返答内容を、Web上の最新情報から取得する機能です。
実は、無料モデルが提供する情報は2021年9月時点の情報で止まっています。
そのため、最新のニュースに関する情報や、明日の天気といったリアルタイムの会話については対応出来ないのです。
しかし、Webブラウジング機能を利用すれば、最新情報を元にした会話が実現できます。
情報精度も大幅に向上することが考えられるため、ChatGPTを利用した作業はより捗るはずです。
このような新機能、改良点については今後も続々と登場することが考えられます。
常に最新の技術を活用できる点は、有料モデルを利用する大きなメリットといえるのです。
ChatGPTをもっと便利に!拡張機能一覧
単体でも圧倒的な機能を持つChatGPTですが、その他サービスと連携することでその機能を大幅に向上させます。
2023年3月には「ChatGPT API」がリリースされ、さまざまなアプリケーションとの連携も可能となりました。
ブラウザを経由することなく利用できる環境は、これまでのWebサービスの全てを根本から変える可能性を秘めています。
複数ある拡張機能の中から、こちらでは以下の2点を紹介します。
WebChatGPT
ChatGPT for Google
ChatGPTの利用にはブラウザ上からサイトにアクセス、もしくはiPhone版アプリの利用が一般的です。
しかし、Google検索するだけで、検索結果の表示に加えて、キーワードに対するChatGPTの回答が表示される機能が「ChatGPT for Google」なのです。
回答内容を確認しながら、適応するサイトを閲覧することで情報収集の精度、速度が大幅に向上することが考えられます。
これまで情報収集はWebサイトをいくつか閲覧する必要がありましたが、今後はChatGPTと平行した検索が主流になるかもしれません。
WebChatGPT
基本的に、ChatGPTは2021年9月までのデータを元に返答を行います。
そのため、提供される情報の中には誤りが含まれている場合もあり、常にファクトチェックが必要な状況でした。
しかし、WebChatGPTを活用すれば誤りである情報を大幅に削減できるのです。
その理由は、情報の取得元をリアルタイムのWebサイト全般に広げ、さらに参照として取得したサイトを表示させるからです。
利用者は引用先をすぐさま確認できますので、ファクトチェック作業も容易になります。
本機能によって、ChatGPTを活用した情報収集がより簡便になることが考えられるのです。
まとめ
ChatGPTに関する概要から、無料モデルと有料モデルの違いについて解説しました。
無料モデルであっても文章生成能力は高いため、趣味やプライベートでの利用など頻度が低い場合は十分その能力を活用できることが考えられます。
しかし、仕事で日常的に利用する場合は、より高性能となる有料モデルへの切り替えを検討しても良いかもしれません。
ご自身の利用用途に応じて、適切に選択することをおすすめします。