AIの需要が拡大するとともに、開発・学習・データ分析をするエンジニアが求められています。
今回のテーマは開発・学習・データ分析をするAIエンジニア。
この記事を読むことで、以下の点について理解を深めることが可能です。
AIエンジニアとは何か
AIエンジニアの具体的な役割と仕事内容
AIエンジニアの資格となるための4つのスキル
AIエンジニアに向いている人の特徴
今後ますます需要が拡大するAIエンジニアについて知りたい方の参考になれば幸いです。
AIエンジニアとは
AIエンジニアは、専門知識や技術を用い、AIの開発・データの解析・ビジネス上の課題を解決する仕事です。
ちなみにAIとは、Artificial Intelligenceの略で、日本語では「人工知能」と訳される人間の知能をコンピューターで再現したテクノロジーのこと。
AIは身近なテクノロジーとなりつつあり、活用された技術として具体的に下記が挙げられます。
◾️|お掃除ロボット
◾️|自動車の自動運転
◾️|検索エンジン最適化
◾️|クレジットカード不正使用探知
◾️|コールセンターオペレーション業務
上記以外にも、生産・福祉・医療・娯楽産業などさまざまな分野でAIが活用され、業務効率化やリスク回避などの効果を発揮しています。
活用シーンは今後もさらに広がり、AIエンジニアもそれに伴い需要が増加するでしょう。
AIエンジニアの業務は、プログラミングや機械学習・深層学習(ディープラーニング)による「開発」と、蓄積されたデータの解析や活用を行う「分析」の大きく2種類に分類されます。
ここから、AIエンジニアの概要について詳しく解説します。
≫≫ AI(人口知能)とは?基礎概念から仕組みや種類まで徹底解説
AIエンジニアの求人状況
AIエンジニアの年収
AIエンジニアとエンジニアとの違い
AIエンジニアもITエンジニアも、顧客からの要望や仕様書・企画書をもとに、システムの設計・開発・テストを行う点は同様です。
ただ、AIエンジニアの場合は、システムの開発などだけでなく、AIに学習させる工程やデータ分析を行うのが特徴です。
AI学習やデータ分析をするためには、数学や統計学などの知識が必要。
また、プログラミング言語もPythonが中心で、JavaやC#がメインのITエンジニアとは異なります。
AIエンジニアの求人状況
AIを活用した事業開発を行う企業が増加するのに比例し、AIエンジニアの需要も増加しています。
経済産業省が2019年に発表した「IT人材供給に関する調査」によると、2018年のAIエンジニアの需要は4万4,000人だったのに対し、2030年には24万3,000人に増加すると予想されています。
IT人材供給に関する調査の数字は日本国内の需要数になり、AIの開発はアメリカや中国などさまざまな国で行われているため、さらに多くの需要が見込まれるでしょう。
つまり、AIエンジニアは現在でも高い需要があり、今後はさらに拡大する見通し。
しかし、AIエンジニアは2030年で12万人の見通しで、供給が需要の半分程度とまったく需要人数に追いつく兆しがありません。
また、基本情報技術者などのITに関する資格の認定を行う情報処理推進機構(IPA)の調査では、現時点ですでにAIエンジニアが70%不足していることもわかっています。
AIエンジニアの年収
AIエンジニアの平均年収は、600万円~800万円程度です。
働く企業の規模で年収が異なり、大手企業の場合は年収1,000万円を超える場合もあります。
日本の平均年収は460万円程度であるため、他の業種と比べ大幅に高いと言えるでしょう。
また、AIの需要増加に伴いAIエンジニアの年収も上がり続けており、今後も上昇すると予想されます。
前述の通り、供給が需要に追い付かなければ、AIエンジニアの平均年収はさらに上昇するでしょう。
AIエンジニアの具体的な役割と仕事内容
AIエンジニアは、具体的にどのような仕事を行うのでしょうか。
ここからは、AIエンジニアの具体的な役割と仕事内容について解説します。
データアナリストの役割と仕事内容
データサイエンティストの役割と仕事内容
機械学習エンジニアの役割と仕事内容
機械学習エンジニアは、機械学習分野におけるシステム開発や実装などのプログラミングを行います。
機械学習を行うことで、大量のデータをAIで効率よく処理し、アルゴリズムを用いて人では気づかない法則や関係性を見出します。
役割はさまざまあり、具体的には下記の通りです。
◾️|サービス開発・設計
◾️|モデル開発
◾️|基盤構築
◾️|調査研究
◾️|分析
◾️|運用・保守
機械学習は、AIを開発する上で非常に重要な仕事。
ちなみに、機械学習と似た技術の深層学習(ディープラーニング)とは、ネットワークを組み合わせ、法則を発見することです。
データアナリストの役割と仕事内容
データアナリストは、データ分析に特化した仕事です。
プロジェクトの目的を達成するために、AI技術を活用しデータの解析や分析を行い、特定パターンや相関関係を導きます。
具体的には、企業の提供サービスとユーザー動向や将来ニーズなどを分析。
データの分析、仮説を立てた問題解決手段の提案、それにもとづくサービス改善などが主な仕事です。
データサイエンティストの役割と仕事内容
データサイエンティストもデータアナリストと同様、データを解析する仕事ですが、業務内容や目的が異なります。
データサイエンティストは、データの分析だけでなく、課題解決や成果向上に向けた施策の立案を行うなど、コンサル要素の強い仕事です。
大量のデータをアルゴリズムや統計学などの情報科学理論を用いて分析、統計モデルの作成や機械学習アルゴリズムの調整など、研究者に近い作業も行います。
AIエンジニアの資格となるための4つのスキル
今後需要が拡大し、年収が高まると予想されるAIエンジニア。ところで、AIエンジニアになるためにはどのような資格やスキルが必要になるのでしょうか。
ここでは、AIエンジニアの資格となるために必要な4つのスキルについて解説します。
機械学習や深層学習の理解
数学・統計学の知識
コミュニケーションスキル
プログラミング言語
必要スキルの1つ目は、プログラミングの知識やスキルです。
プログラミング言語は、JavaScriptやPHPなどさまざまな種類がありますが、AI開発で主流なのはPython(パイソン)です。
他にもRやC、C++などの言語を用いる場合もあります。
Pythonは、Tensorflowやscikit-learnなど、機械学習に適したライブラリが多くあり、深層学習のデータもオープンソースとして公開されています。
ライブラリとは、機械学習モデルを構築するためにプログラムをまとめたもののこと。
Pythonを理解していれば、ライブラリやオープンソースを利用でき、AI開発期間やコストの短縮ができます。
Pythonに関する資格として、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が提供する「Python3エンジニア認定基礎試験」や「Python3エンジニア認定データ分析試験」があります。
≫≫ AI開発環境の選び方とおすすめツール10選を徹底解説!
機械学習や深層学習の理解
AIエンジニアに必要なスキルの2つ目は、機械学習や深層学習の理解です。
機械学習や深層学習を行い、AIの精度を向上させます。
ちなみに、機械学習とは、大量なデータをAIで効率よく処理し、アルゴリズムを用いて人では気づかない法則や関係性を見出すこと。
深層学習とは、ネットワークを組み合わせ、法則を発見することです。
機械学習や深層学習に関する資格は、例えば下記が挙げられます。
◾️|G検定
◾️|E資格
◾️|Professional Data Engineer
◾️|AI-900
数学・統計学の知識
数学・統計学の知識もまた、AIエンジニアになるために欠かせないものです。
AIのプログラムは数学的理論をベースに構築され、機械学習では、確立・統計学や微分・積分、線形代数学などを使いデータの解析を実施。
数学の知識やフレームワークがあれば、AIの開発だけでなくデータ解析など幅広い分野で活躍できるでしょう。
統計に関する資格として、一般財団法人統計質保証推進協会が提供する「統計検定」があります。
コミュニケーションスキル
AIエンジニアになるには、コミュニケーションスキルも必要です。
AIの開発をする上で、顧客と開発目的や仕様の擦り合わせが必要。
また、AI開発は1人で行うのではなく、複数人でチームを組み行うのが一般的です。
コミュニケーションスキルがなければ、顧客の要望を正確につかみ、それを開発に反映させるのは困難でしょう。
また、チームメンバーとのコミュニケーションが不足すれば、効率的な開発ができない可能性もあります。
AIエンジニアに向いている人の特徴
AIエンジニアには向き不向きがあります。
AIエンジニアに興味がある人は、自分にあてはまるか確認してみましょう。AIエンジニアに向いている人の特徴として代表的なのが以下の3つといわれています。
継続的な学習意欲があり好奇心が旺盛
チームワークを重視できる人
論理的思考で物事を考えられる
AIエンジニアは、大量のデータを取り扱うため理解力はもちろん、論理的思考力が求められます。
主観や直感でなく、導き出されたデータを根拠に冷静な分析・検証が重要となるAIエンジニアには、普段から物事を論理的に考え客観的な思考ができる人が向いているでしょう。
また、論理的に物事を考えるための数学や統計学の知識も必要です。
継続的な学習意欲があり好奇心が旺盛
AIは最先端分野であり、今後も新たな技術や考え方が生み出され変化する分野です。
現在でも急速な変化をしているため、常に新しい知識を習得し続ける必要があります。
そのため、AIエンジニアとして活躍し続けるためには、継続的な学習意欲があり、好奇心旺盛であると良いでしょう。
好奇心や向上心があり、貪欲に自分から学び続けられる人にはおすすめです。
チームワークを重視できる人
AIの開発は、1人でなくチームで行うのが一般的であり、チームワークを重視できることも重要です。
どんなに優秀でも、チームのメンバーとコミュニケーションが取れない・もめごとを起こしてしまう人では、チームにとってマイナスになる場合もあります。
チームワークを重視し、他のメンバーと協力しながらプロジェクトに取り組める人こそ、AIエンジニアに向いているでしょう。
まとめ|AIエンジニアになる方法
今回の記事では、AIエンジニアの概要や具体的な役割と仕事内容、AIエンジニアの資格となるための4つのスキル、向いている人の特徴について詳しく解説しました。
AIエンジニアは、AIに関する専門知識や技術を用い、AIの開発・データの解析・ビジネス上の課題を解決する仕事です。
AIエンジニアの需要は増加しており、他の業種と比べ平均年収も高い結果となっています。
AIエンジニアになりたい人は、Pythonによるプログラミング知識・スキルだけでなく、論理的な思考や数学・統計学の知識を身に付けましょう。