AI(人口知能)とは?基礎概念から仕組みや種類まで徹底解説

AI(人口知能)とは?基礎概念から仕組みや種類まで徹底解説

1950年代の第一次AIブームに始まり、2000年代のA第三次AIブームまで「AI(人口知能」の言葉を耳にする機会が増えました。AIを使った生活家電などの商品も増加し、AIは我々の生活に身近な存在になってきています。

最近では、オープンAIチャットボットの「ChatGPT」が話題になっていますが、そもそもAIとはどんな種類や歴史があるのか知らないという方も多いのではないでしょうか?

この記事では、主要なAIの種類やメリット、デメリット、違いについて、事例を交えてわかりやすく解説します。

AI(人工知能)とは?基礎概念について

AI(人工知能)とは?基礎概念について

引用:総務省 第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~ 図表4-2-1-4 国内の主な研究者による人工知能(AI)の定義

AIはコンピュータサイエンスの一分野で、人間が持つ知能を必要とするタスクを実行できるスマートマシンを構築することを目的としています。

AIの言葉の定義は、研究者によって異なる解釈をされており、日本国内の主な研究者の解釈は上記の通りです。

AIは複数のアプローチを持つ学際的な科学です。

AIの機械学習や深層学習の進歩により、技術業界の多くの分野でパラダイムシフト(その時代の規範となる考え方や価値観などが大きく変わること)が起きています。

AIの基礎概念・原理には「学習」と「推論」の2つがあります。

≫≫ AI経済効果とは?今後のビジネスや産業に与える影響について

■|そもそもAIとは何?
■|AIとロボットの違いとは?

そもそもAIとは何?

AIは「Artificial Intelligence」の頭文字をとった略称で、「人口知能」のことを指し、コンピューターによる知的な情報処理を実現する技術です。

自然言語処理、画像認識、音声認識、機械学習、深層学習などの技術を組み合わせて、過去のデータやルール・規則から自律的に学習し、意思決定や予測を行うことが可能です。

現在では、人工知能を持つコンピューターの開発や、AIを活用したビジネスモデルの構築など、さまざまな分野で注目されていて、人間が行う繰り返しのタスクや、膨大なデータの処理、予測、判断などを支援し、生活環境やビジネスの効率化に貢献することが予想されています。

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AIとロボットの違いとは?

ロボットとAIは、異なる概念であり、それぞれに独自の機能や特性をもっています。

ロボットは、物理的に存在する機械的な装置です。人間が制御するか、あるいは自律的に動作することができます。ロボットには、センサー、アクチュエータ、プログラムなどの要素が含まれます。例えば、自動車工場で働くロボットは、製品をつかみ、移動させ、部品を取り付けるなどの物理的なタスクを実行することが可能となります。

一方、AIはコンピューターシステムが人間の知能を模倣することを可能にする技術です。これには、自然言語処理、画像認識、機械学習、深層学習などが含まれます。AIシステムは、大量のデータを処理して、意思決定や予測を行うことができます。

例えば、検索エンジンや音声アシスタントなどのアプリケーションは、AI技術を使用しています。したがって、ロボットは物理的に存在し、AIはコンピューターシステム上で存在する技術であることが違いです。

ただし、ロボットにAIを搭載することで、より高度な自律性や柔軟性を実現することが可能となります。

≫≫ 汎用人工知能(AGI)とは?開発されるまでの歴史から今後の未来を解説

AI(人工知能)の歩んできた歴史

AI(人工知能)の歩んできた歴史

最新テクノロジーとして最近話題となっているAIですが、実は60年以上の歴史があります。

技術の進歩により姿形を変え、私たちの生活に馴染みつつあります。

この章ではAIが歩んできた道のりを時系列とともに解説していきます。

■|1950年〜60年代|第一次AIブーム(ルールベース・パターン認識技術)
■|1970年代〜|AI冬の時代
■|1980年代〜|第二次AIブーム(エキスパートシステム)
■|1990年〜2000年代|第三次AIブーム(機械学習)

1950年〜60年代|第一次AIブーム(ルールベース・パターン認識技術)

1956年の夏にアメリカのダートマス大学で開催されたワークショップで、AI研究の分野が確立されました。

このワークショップに参加した人々が、数十年にわたってAI研究をリードし、人間と同等の知能を持つ機械が一世代も経たないうちにできると予測し、実現するために何百万ドルもの資金を使い、研究を開始しました。

この時期は、「ルールベース型AI」が利用され、人がAIにルールを登録し、その情報を元にAI判断し、作業を実施する人工知能の技術が利用されていました。

第一次ブームは推論や探索をコンピューターで実施し、問題の解を得られるようになったことでブームが始まりました。

1970年代〜|AI冬の時代

ルールベース・パターン認識技術Iでは、単純な仮説の解を得ることはできても、さまざまな要因が掛け合わせあった問題の解は得られないことがわかりました。

そこで、開発者や研究者がプロジェクトの難易度を著しく過小評価していたと、一部研究者からの批判と議会からの圧力を受け、米英政府は人工知能の非直接研究への資金提供を停止したことから停滞し、「AI冬の時代」と呼ばれる停滞期に入りました。

1980年代〜|第二次AIブーム(エキスパートシステム)

第二次AIブームは、「エキスパートシステム」資金調達が活発化した時代です。

「第一次AI冬の時代」を経て、新しい技術の研究が活発化し、大きな成果を上げたことから、この分野の研究開発への投資が活発化し、企業における新しいAIの応用が生まれました。

ロドニー・ブルックスによるiRobot「ルンバ」の開発や、チェスの世界チャンピオンに初めて勝利したソフト「ディープ・ブルー」もこの時期に誕生しました。

1980年代は、第一次AIブームで活用していた「ルールベース・パターン認識技術」を脱却し、「エキスパートシステム」が主流になりました。

エキスパートシステムは、強力なドメインの固有の知識を活用し、推論手順を増やし、特定の専門領域で起こるよくあるケースをより取り扱えるようになりました。専門分野の知識を取り込んだ推論を行い、特定分野の専門家のように振る舞えることから、エキスパートシステムと呼ばれています。

エキスパートシステムの難点として、推論するために必要なさまざまな情報をコンピューターが認識できる形式で人手で記述する必要がありました。

当時はコンピューターが自ら情報を収集・蓄積できなかったため、世の中の膨大な情報すべてを人手でインプットすることが困難なことから限界を迎え、1995年頃から再び冬の時代を迎えました。

1990年〜2000年代|第三次AIブーム(機械学習)

第三次人工知能(AI)ブームは、2000年代から継続中です。

大量のデータを用いた「ビッグデータ」をAI自身が習得する「機械学習」が実用化され、知識を定義する要素をAIが自ら習得するディープラーニング(深層学習)が登場したことが、ブームのきっかけになりました。

AI(人工知能)の仕組みと3つの種類を解説

AI(人工知能)の仕組みと3つの種類を解説

近年の人工知能(AI)の発展は、機械学習とディープラーニング(深層学習)が支えています。

ここでは、AIの3つの種類を解説します。

≫≫ ディープラーニングと機械学習の4つの違いとは?それぞれの特徴をわかりやすく解説

■|ルールベースAI
■|機械学習
■|教師なし学習
■|教師あり学習
■|強化学習
■|深層学習

ルールベースAI

ルールベースシステムは、その名の通り、人間がプログラムした特定のルールに基づいて、あらかじめ定義された出力を生成するシステムです。

ルールベースのAIシステムは、固定された知性を持ち、一定のルールや指示に従うことで、あらかじめ設定された出力が得られます。

ルールベースのシステムには、次のような4つの主要な構成要素が組み込まれています。

1.  事実や知識ベース、またはデータの組み合わせ 例:原油価格は160円でで固定
2.  規則のセット 例:もしAならばBする
3. 入力とルールベースとの相互作用に従って情報を推論し行動する推論エンジン
4. ワーキングメモリー(作業に必要な情報を、一時的に保存し処理)

ルールベースAI

また、ルールベースのシステムでは、入力の流れを導くための説明設備や専門家、出力を伝えるためのユーザーインターフェースが必要です。

機械学習

機械学習は、機械がデータから自動的に学習し、過去の経験からパフォーマンスを向上させ、予測を行えます。膨大な量のデータから物事を学習することができるアルゴリズムを設計し、応用します。

例えば過去に習得したユーザーの行動データがあると、それを元に将来を予測することができます。機械学習のアルゴリズムは、さまざまなビジネスシーンでも課題解決に役立ちます。

例えば、クレジットカードの不正使用検知、自動運転車の実現、顔の検出・認識などに利用されています。

また、機械学習には主に3つの分類があります。

1. 教師あり機械学習
2. 教師なし機械学習
3. 強化学習

以下で機械学習の種類と、それぞれのアルゴリズムについて詳しく解説します。

教師なし学習

教師なし学習

教師なし学習とは、人間の手引きなしで、分類もラベル付けもされていないデータを使って機械を分析、分類、訓練し、学習させることです。

機械のタスクは、データの事前訓練なしで、類似性、パターン、および相違に従って未分類の情報をグループ化することです。例えば、上記のような犬と猫の画像を与えます。AIは犬と猫を見たことがなく、概念について知らないためそれを「犬」と「猫」に分類することはできません。

しかし、類似点、パターン、相違点で分類し、与えられた絵を2つに分類することができます。

このようにAIが自身で分析、グループ化を行うため、これまで発見できなかったパターンや情報を発見することができます。

教師あり学習

教師あり学習

教師あり学習には、教師としてスーパーバイザー(管理者)が存在します。教師なし学習と違い、ラベル付けされたデータを使って、機械に教えたり訓練したりします。

データには、正解のタグが付けられている状態でAIに提供され、その後、機械に新しいデータを提供し、教師あり学習アルゴリズムが訓練データを分析し、ラベル付けされたデータからデータを分類したり、結果を正確に予測したりします。

例えば、上記の画像は果物を認識する機械の訓練の事例です。ここでは、りんごとバナナを学習させます。りんごとバナナをラベル付けし、学習させた場合、物体の形が丸みを帯びていて、上部にくぼみがあり、色が赤であれば、「りんご」とラベル付けされます。

物体の形が長い曲線を描く円柱で、色が緑と黄色の場合、「バナナ」とラベル付けされます。

学習後、機械は新しい別の果物、例えば新たにバナナを提供され、それを識別するように要求されます。するとAIは、すでに以前のデータから学んでいるので、過去の学習を使い、果物の形と色で分類し、バナナという果物の名前を確認します。

このように、機械は学習データ(果物が入ったバスケット)から物事を学び、その知識を新たに提供されたものに適用します。

強化学習

強化学習は機械学習の一種で、AIエージェント自動的に周囲を探索し、経験から学び、試行錯誤しながらパフォーマンスを向上させます。

強化学習は、教師あり学習のようにラベル付けされたデータは存在せず、経験からのみ学習します。また、インタラクティブ(双方向)で学習することが可能で、エージェントは良い行動をとると報酬が得られ、悪い行動をとると罰を受けます。

強化学習を教師なし学習との大きな違いは、目標・ゴールが異なります。

教師なし学習は、データ点間の類似点や相違点を見つけることが目標ですが、強化学習は、エージェントの累積報酬の合計を最大化するような適切な行動モデルを見つけることが目標になります。

例えば、ゲームをする場面では、各ステップでAIエージェントの動きが状態を定義し、ゴールは高得点を取ることです。AIエージェントは、罰と報酬という形でフィードバックを受け取ります。

強化学習の実際の活用例には以下があり、さまざまな分野で利用されています。

1. ゲーム理論
2. オペレーションリサーチ(経営科学・組織の意思決定に係るアプローチ)
3. 情報理論

深層学習

深層学習

深層学習はディープラーニングと呼ばれています。

AI(人工知能)の中に機械学習があり、機械学習の種類の1つに深層学習があります。ディープラーニングは、人間が自然に行うこと、つまり手本を見せて学ぶことをコンピューターに教えるML技術です。

ディープラーニングは、ドライバーレスカーを支える重要な技術であり、停止標識を認識したり、歩行者と街灯を区別したりすることができます。コンピュータモデルが画像、テキスト、音声から直接分類タスクを実行するように学習します。

モデルは、大量のラベル付きデータと、多くの層を含む「ニューラルネットワークアーキテクチャ」を使用して学習されます。

人工ニューラルネットワークとは、脳の神経細胞のニューロンと共通する一定の性能特性を持つ情報処理システムです。人工ニューラルネットワークは、人間の認知や神経生物学の数学的モデルの一般化として、次のような仮定に基づいて開発されています。

情報処理は、ニューロンと呼ばれる多くの単純な要素で行われ、信号がニューロン間で接続リンクを通じて送られます。ニューラルネットワークは入力層、中間にある隠れ層、出力層から作られ、各接続リンクには関連する重みがあり、典型的なニューラルネットでは、送信される信号を乗算します。

各ニューロンは、その重み付けされた入力信号の合計に活性化関数を適用して、その出力信号を決定しています。

ニューラルネットワークアーキテクチャ

多くのディープラーニングの手法は、ニューラルネットワークアーキテクチャを使用しています。そのためしばしば「ディープニューラルネットワーク」とも呼ばれます。ディープという用語は通常、ニューラルネットワークの隠れ層の数を指します。

従来のニューラルネットワークは2〜3層の隠れ層を持つだけですが、ディープネットワークの中には150層にも及ぶものもあります。

深層学習AI(人工知能)活用例

AIが利用されている身近な事例にディープラーニングを活用した音声認識や自動運転、パーソナライズド提案があります。

実際の事例を、サービス名を挙げながら3つご紹介します。

1. バーチャルアシスタント

身近なものにスマートフォンなどに実装されているSiriや、Alexaなどのバーチャルアシスタントがあります。これは、ディープラーニングを使って、利用者の発言やバーチャルアシスタントと対話するときに使う言葉を学習しています。

2. ドライバーレス配送トラック、ドローン、自律走行車のビジョン

自律走行車が道路の現実を理解し、それが停止標識であれ、路上のボールや他の車両など、危険への対処についてもディープラーニング・アルゴリズムが活用されています。

アルゴリズムがより多くのデータを受け取れば受け取るほど、雪に覆われた一時停止標識が依然として一時停止標識であることを認識するなど、情報処理において人間のように振る舞うことができるように学習しています。

3. パーソナライズされたショッピングやエンターテインメント

Netflixなどの動画配信サイトでは、オススメの作品が紹介されます。

また、Amazonで通販をする際にも次に買うべきものを提案し、利用者が必要としているものであるにも係らず、今まで知らない商品だったということがあります。このオススメの提案もディープラーニングのアルゴリズムが働いています。

このように我々の日常で、AIのディープラーニングの技術は利用され、浸透してきています。

≫≫ 自然言語処理(NLP)とは?技術の基礎から活用事例まで徹底解説

AIの今後の展望とまとめ

AIの今後の展望とまとめ

本記事では、AIのこれまでのブームやアルゴリズムの変遷をご紹介しました。

現在では、第三次AIブームが継続中です。NetflixやAmazonのショッピングでのオススメ機能や、翻訳サービス、Siriなどのバーチャルアシスタントなど、AIは我々の日常に浸透してきており、今後も進展していくと予測されています。

最近話題のオープンAIチャットボットの「Chat GPT」もLINEで簡単に質問ができ、AIがリサーチした結果を自然な文章で作成した回答を得ることができたり、「DALL-E2」では指示した画像を生成できたり、非常に便利なツールも出てきています。

AIの技術の応用で、我々の日常の単純な作業の代行が可能になり、生活や労働形態の変容にもつながることが予測されています。

AIの今後の動向は、我々の生活に係る変革を起こす可能性が多いにあるため、情報をチェックしたり、AIを活用した便利なサービスがどんどんと登場していきていますので、まずは身近なところから取り入れ、便利な生活を体感してみることもオススメです。

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