AIについて語る上で避けられないのが機械学習とディープラーニング。
なぜなら、ほとんどのAIテクノロジーが、機械学習とディープラーニングのどちらかに強く関わっているからです。
この記事では、機械学習とディープラーニングについて解説します。この記事を読むことで下記の内容について理解できます。
機械学習とは何か
ディープラーニングとは何か
機械学習とディープラーニングの違い
機械学習とディープラーニングの活用事例
AI知識入門編として押さえておくべき機械学習とディープラーニング、ぜひこの記事を参考に、理解を深めていきましょう。
機械学習とディープラーニングの基礎
まずは、機械学習とディープラーニングそれぞれの基本的な概要について解説します。
大前提として知っておくべきことは、ディープラーニングは機械学習のカテゴリに含まれるものの一つであるという点です。
つまりは、機械学習の概要はディープラーニングの概要でもあるということ。機械学習とディープラーニングは比較するものではなく、機械学習として括られるカテゴリの中に包括されるものであることを理解しておきましょう。
ここでは、まず機械学習とは何かを説明した上で、ディープラーニングとは何かを説明します。
■|ディープラーニングとは
機械学習とは
機械学習とは、コンピュータがデータをもとに、ある事柄におけるルールやパターンを学習する技術を意味します。
膨大なデータを用いて何度も使用するうちに、徐々に精度が上がるのが機械学習の特徴です。
機械学習は以下の3種類に分類されます。
あらかじめ回答となるデータをインプットしておくことで、新たなデータがインプットされたときに正解か否かを見極める学習方式
2. 教師なし学習:
回答をインプットせず、コンピュータ分析により類似するデータをカテゴライズする学習方式
3. 強化学習:
コンピュータが試行錯誤を重ねることで最善の結果を導き出す学習方式
これら3つのタイプごとに活用される場面が異なるのが機械学習ですが、3つの異なる方式を用いることで、幅広い分野において役立っています。
ディープラーニングとは
ディープラーニングとは機械学習の一種で、インプットされたデータからコンピュータが自動的に特徴を抽出するディープニューラルネットワーク(DNN)を用いた学習のことを意味します
先ほどの機械学習においては、コンピュータが物事を認識する際の基準となる特徴、つまり「特徴量」を人間があらかじめ選択しておく必要があるのがポイントです。
わかりやすく説明します。例えば、バナナの画像認識においては、バナナの色や形の特徴などが特徴量の一つですが、これらを事前に人間の手で選択しておくことが必要。
事前にデータをコンピュータに与えることにより、次にバナナとリンゴを認識させたときに、バナナをバナナとして正しく認識することができます。
要は、あらかじめ覚えさせておくことにより、それ以降のデータ分析が可能になるのが機械学習でした。
しかし、一方ディープラーニングではこれらの特徴量の選択は不要。ここが機械学習とディープラーニングの最も大きな違いです。
ディープラーニングでは、コンピュータが自力で判別する力を伸ばすことで、機械学習の中でも特に精度の高い分析を行うことが可能になりました。
もちろん、人間があらかじめ特徴量となるデータを選択する必要がないため、手間が大きく省ける点も特徴です。
では、ディープラーニングは機械学習の「強化学習」と同じなのかと言えば、この2つは別物です。
強化学習は学習プロセスで人の手を必要としますが、ディープラーニングは必要としません。なぜならディープニューラルネットワーク(DNN)が人の脳の代わりとなるためです。
機械学習とディープラーニングの4つの違い
機械学習とディープラーニングは非常によく似ているものの、異なるものであることがわかりました。
ここからは、機械学習とディープラーニングの違いを、以下の4つの観点で比較します。
■|データの利用方法
■|モデルの複雑さ
■|応用分野
アルゴリズムの違い
機械学習、ディープラーニングの両方がデータを分析する上で欠かせないのがアルゴリズム。アルゴリズムとは、ある問題を解くための手順を定義したものの名称です。
機械学習とディープラーニングでは使用するアルゴリズムに違いがあります。
機械学習では、ニューラルネットワークをアルゴリズムとして活用しています。人の脳は、脳内のニューロン(神経細胞)が信号を出すことで情報が伝達される仕組み。これと同様にニューラルネットワークは機能します。
ディープラーニングもまた、ニューラルネットワークをアルゴリズムとしていますが、正確に言えば、ディープラーニングのアルゴリズムはディープニューラルネットワーク(DNN)と呼ばれます。
ディープニューラルネットワーク(DNN)は、ニューラルネットワークで対応できない複雑な情報にも対応できるのが特徴。
これを活用することで機械学習以上に精度の高いディープラーニング(深層学習)が可能になりました。
データの利用方法の違い
機械学習とディープラーニングではデータを使用する方法が異なります。
機械学習では、人間により与えられたデータを元に、コンピュータが自らルールやパターンを見出します。
つまり、あらかじめデータが与えられない限り、物事を分析するための特徴の把握ができません。
これに対し、ディープラーニングでは、データは共通点を自動抽出するために使われます。分かりやすくいうと、機械学習のようにデータが持つ特徴に関するデータを人間が与えることなく、コンピューターが勝手に特徴を見つけるのがディープラーニングなのです。
そのため、機械学習は人間がデータの特徴を判断するものであり、ディープラーニングは機械がデータの特徴を判断するものであると区別されています。
モデルの複雑さの違い
機械学習とディープラーニングではモデルの複雑さも異なります。
ディープラーニングは機械学習よりモデルが複雑で、比較的シンプルな機械学習よりも精度がはるかに高くなるのが特徴。
例えば、シーリングライトに機械学習モデルが搭載されていれば、「明るい」「暗い」などの言葉を発したときに反応するようにあらかじめ設定することが可能です。
ディープラーニングモデル搭載のシーリングライトなら、「まぶしい」「何も見えない」などの言葉にも反応し、明るさを調整したり点灯スイッチをオンにするなどの動作が可能。
ディープラーニングモデルは人間の脳と似た構造であるため、まるで人が考えて行動するように動作するのが特徴です。
これにより、機械学習では叶わないレベルの操作も、ディープラーニングにより行うことができるのです。
応用分野の違い
機械学習とディープラーニングは、それぞれの特徴を活かせる分野にも違いがあります。
機械学習はディープラーニングよりもスピード面で優れているため、即座に結果が求められる分野において使われます。
一方、ディープラーニングは学習に時間がかかる反面、より複雑な内容の解析が可能なため、機械学習では解決できない難解な認識作業などに用いられています。
機械学習とディープラーニングはよく似た学習モデルですが、それぞれに向き不向きがあり応用分野にも違いがある点を理解しておきましょう。
≫≫ 汎用人工知能(AGI)とは?開発されるまでの歴史から今後の未来を解説
機械学習とディープラーニングの活用事例
ここまでで、機械学習とディープラーニングの違いについて理解できました。
ここからは、機械学習とディープラーニングが具体的にどのような場面で活用されているのかをまとめて解説します。
■|ディープラーニングの活用事例
機械学習の活用事例
機械学習の活用事例として挙げられるものとしては下記の通りです。
2. 画像認識による無人レジ
3. さまざまな書類の電子化
4. 画像認識を使用した在庫管理
これらは全て、あらかじめルールやパターンとして覚えておくべきデータを人間の手でインプットすることにより実現するのがポイントです。
≫≫ AIを活用した画像認識とは?仕組みから活用事例まで徹底解説
ディープラーニングの活用事例
ディープラーニングの活用事例として挙げられるものとしては下記の通りです。
2. カメラによる不審者の検知
3. 不正アクセスの防止
4. 工場などの安全管理
5. 自動運転機能
いずれも、「○○が××になると□□」というシンプルなものではなく、膨大なデータから特徴を検出し、学習することで可能になるものばかりなのが特徴。
精度の高いディープラーニングだからこそ実現できることは想像以上に多いと言えます。
≫≫ 自然言語処理(NLP)とは?技術の基礎から活用事例まで徹底解説
≫≫ ChatGPTの面白い使い方5選!Twitterでの珍回答も紹介
まとめ
この記事では、機械学習とディープラーニングの違いについて解説しました。それぞれの特徴について、より深く理解いただけたのではないでしょうか。
ディープラーニングは機械学習の一種であり、一般的な機械学習と比較して精度が高いのが特徴ですが、即座に結果を示す場合には不向きである点がデメリットとなります。
今の生活において、AIはなくてはならないものと言っても過言ではありません。機械学習とディープラーニングがあるからこそ、私たちの今の生活が成り立っているのです。
本記事を読むことで、今の生活を豊かにする機械学習とディープラーニングへの理解が深まれば幸いです。