近年、さまざまなAIツールがリリースされています。海外製のみでなく、日本の国産のソフトも増加し、無料で利用や検証ができるプラットフォームも増加しています。
AIツールの比較サイトによくある一覧では、さまざまなツールがあり、なかなか選択しにくいと思います。
そこで、本記事ではAIモデル構築と画像認識、自然言語処理の3つの種類に分けて、それぞれの特徴とオススメポイントを解説します。
AIツールとは?
AIツールとは、人工知能のアルゴリズムを使用して特定のタスクを実行し、問題を解決するサービスのことです。ソフトウェアアプリケーションやSaaS型のサービスなどサービスの提供形態はさまざまです。
AIツールは、機械学習アルゴリズムを使ってデータを分析し、データのパターンや傾向に基づいて意思決定を行い、機能しています。
≫≫ AI(人口知能)とは?基礎概念から仕組みや種類まで徹底解説
AIツールの選び方
AIツールで実現できること
AIツールは、医療や金融、マーケティング、教育などさまざまな業界で利用でき、タスクの自動化、データ分析、意思決定の改善など幅広い用途で活用できます。
AIツールの利用で、作業の自動化、データの分析、パターンやトレンドに基づく予測に使用することができ、各業務の効率と精度の向上に繋げることができます。
≫≫【2023年最新】AIデータ分析ツールのおすすめ10選!機能比較と使い方を徹底解説
AIツールの選び方
AIツールは、近年さまざまなサービスが提供されています。
各AIツールで、利用シーンや用途、課題解決範囲や領域は大きく異なります。AIツールを導入する際には、ピンポイントな業務をAIツールで解決するより、会社として解決したい課題を棚卸した上で、AIツールを選定することがオススメです。
本章では、AIモデル構築、画像認識、自然言語処理の3つのジャンルに絞り、それぞれオススメのサービスの紹介と特徴を解説します。
AIモデル構築に特化したツール
AIのモデル構築とは、機械学習でデータをさまざまな項目を用いて分析をして、数学的表現をつくり、モデルとしてまとめることです。さらに機械学習モデルを新たなデータ分析に利用し、予測や結果を分析します。
このようなAIモデルの構築はPythonやC++を始めとするさまざまなプログラミング言語を用いて作成されますが、プログラミングができない人でも利用できるツールが増えてきています。
ここでは、日本製で使いやすいツールを3つご紹介します。
MatrixFlow
RapidMine
Neural Network Console
Neural Network Consoleは、SONYが開発したディープラーニングを簡単に利用できる開発支援ツールです。
プログラミングすることなく、ディープラーニングを実装できるのが特徴で、開発ハードルをなくすことを目的に開発されました。そのため、ネットワーク構築の最適化を自動で行ったり、ドラッグ&ドロップで直感的に操作できたりと使いやすさが好評のツールです。
クラウド版とWindowsのインストーラー版の2つのサービス形態で提供されています。クラウド版は現在、β版で提供されていて、容量制限はあるものの無料で利用できます。
詳細:Neural Network Consoleの公式ページはこちら
MatrixFlow
MatrixFlowは、東京都に拠点を構える株式会社MatrixFlow社が提供しているAIをノンプログラミングで構築できるツールです。
MatrixFlowはプログラミングすることなく、AIを構築できます。MatrixFlowは、データ分析、数値予測、自然言語処理、画像認識を行うことができます。
利用はクラウド上で利用でき、0〜30万/月で利用できます。
RapidMiner
RapidMinerは、大阪府に拠点を構える株式会社KSKアナリティクスが提供するBIツール(Business Intelligence Tool)の一種でデータの可視化、モデリング、検証、最適化、自動化などができるツールです。
ドラッグ&ドロップ操作でき、機械学習、統計解析、深層学習がプログラミングの知識がなくても本格的に利用できるのが特徴です。まったくノーコードではなく、オペレータから最適なコードブロックを探し出して利用します。
料金はWebサイトで公開がないものの約20万円〜利用が可能だと言われています。また、無料体験版で30日間利用できるため、操作性などを試してみることが可能です。
画像認識に特化したツール
画像認識とは、コンピュータビジョンの一部であり、写真を認識・解釈して、自然環境で観察可能な物体、場所、人、物を識別する技術です。最終的には、人間の脳と同じように対象物を見ることが大きな目標です。
画像認識は、人間と同じように画像の各ピクセルを調べ、関連する情報を抽出します。コンピュータビジョンで学習させたさまざまな物体を検出し、認識させます。
データを学習させていくことで、人工知能(AI)は高度化し、データベースの数が多ければ多いほど、AIはさまざまな状況において識別、理解、予測することがより徹底され、軽快になります。
例えば、犬を認識させるために犬や猫などの多くのデータを機械に学習させ、最終的に犬と判断させています。
AIの画像認識の技術は我々の身近で利用しやすいサービスです。ここでは、代表的な4つのツールをご紹介します。
≫≫ AIを活用した画像認識とは?仕組みから活用事例まで徹底解説
Amazon Rekognition
IBM Image Detection
Cloudsight
Google Cloud Vision API
Google Cloud Vision APIは機械学習を利用して、膨大な画像のデータセットに対して事前に訓練されたモデルで画像を識別しています。識別後は、画像を何千ものカテゴリーに分類し、物体や場所、顔などをピックアップし、その結果を信頼値( 信頼できる程度)とともに生成します。
Google Cloud Visionは、画像の被写体が男性か女性か、猫か犬か、船か飛行機かを識別するだけでなく、人が喜んでいるか悲しんでいるか、画像がGoogleセーフサーチに適しているかどうかまで判断することができます。
これらの機能をCloud Vision APIを利用して、画像認識機能をさまざまなソフトウェアに組み込むことが可能です。
価格は、最初の1000ユニットまでは無料で利用でき、それ以上は1000ユニットあたりで設定されています。
料金詳細はこちら:https://cloud.google.com/vision/pricing?hl=ja
◾️|ドキュメントテキスト検出(高密度/手書き)
◾️|ランドマーク検出
◾️|ロゴ検出
◾️|ラベル検出
◾️|画像プロパティ
◾️|オブジェクトのローカライズ
◾️|クロップヒント検出
◾️|ウェブエンティティとページ
◾️|顔検出
Amazon Rekognition
Amazon Rekognitionを使えば、アプリケーションに画像や動画の解析を簡単に追加することができます。
Amazon Rekognition APIに画像や動画を提供するだけで、サービスはオブジェクト、人物、テキスト、シーン、アクティビティを識別することができます。また、不適切なコンテンツも検出することができます。Amazon Rekognitionは、高精度の顔分析、顔比較、顔検索機能も提供します。
ユーザー認証、カタログ作成、人物カウント、公共安全など、さまざまなユースケースで顔を検出、分析、比較することができます。
Amazon Rekognitionは、「Amazon Rekognition Image」「Amazon Rekognition Video」「Amazon Rekognition カスタムラベル」の3種類の料金プランがあります。
料金詳細はこちら:https://aws.amazon.com/jp/rekognition/pricing/
◾️|コンテンツのモデレーション
◾️|ラベル
◾️|カスタムラベル
◾️|動画セグメント検出
◾️|Streaming Video Events の検出
◾️|顔比較と検索
◾️|顔検出と分析
◾️|有名人の認識
IBM Watson Visual Recognition
IBM Watson Visual Recognitionサービスは、ディープラーニング・アルゴリズムを使用して、シーン、オブジェクト、顔、その他のコンテンツについて画像を分析するサービスです
2021年12月1日にIBM Watson Visual Recognitionのサービスを停止、終了を公開しており、Maximo Visual Inspection (英語)が移行先として推奨されています。
IBM Maximo Visual Inspectionは、プログラミングなどの専門知識なしで、マウス操作で画像認識を行うモデルを開発できるツールです。画像認識モデルの開発や、開発したモデルのエクスポートやAPIによる呼び出しができます。
料金詳細はこちら:https://www.ibm.com/products/maximo-visual-inspection-mobile/pricing
◾️|物体検出
◾️|セグメンテーション
◾️|アクション検出
◾️|ラベリング
Cloudsight
CloudSightは、iOS用のアプリケーションとAndroid用のアプリケーション「CamFind」と「TapTapSee」を提供しています。CamFindは、画像認識AIを搭載したモバイルビジュアル検索エンジンです。無料でスマートフォンのアプリケーションで利用が可能です。
TapTapSeeは、視覚障がい者のために作られた画像認識アプリケーションで、カメラで撮影すると、物体を認識し声で教えてくれる便利なサービスです。
その他にも各種サービスと連携して利用できる画像認識用のWeb APIも提供していてビジネスシーンでの利用も可能です。API連携し、画像とともにHTTPリクエストを送信すると、その内容の説明が表示されるなど簡単に利用ができます。料金は、画像単価での料金設定とリクエストごとの従量課金があります。
料金詳細はこちら:https://cloudsight.ai/
◾️|画像解析
◾️|オブジェクト識別
◾️|認識結果の読み上げ
自然言語処理に特化したツール
自然言語処理(NLP)は、コンピュータがテキストを読み、音声を聞き、それを解釈し、感情を測定し、どの部分が重要であるかを判断できます。例えば、機械翻訳、要約、チケットの分類、スペルチェックなどを実行できます。
ビジネスシーンでは、チャットや電子メールクライアントでセンチメント分析を活用し、顧客満足度調査したり、Webで収集したテキストからデータを抽出し市場調査を行ったり、SNS(ソーシャルメディア)上の業界のトレンドを把握することに利用できます。
ここでは、大手IT企業が提供する自然言語処理に特化したツールを3つご紹介します。
≫≫ 自然言語処理(NLP)とは?技術の基礎から活用事例まで徹底解説
IBM Watson Natural Language Understanding
Amazon Comprehend
Google Cloud Natural Language API
Google Cloud Natural Language APIは、Googleが事前に学習させた機械学習モデルを活用し、感情分析、エンティティ抽出、コンテンツ分類など、さまざまなNLPタスクを実行できます。
Natural Language APIは、Google検索で特定のユーザーの質問に答える機能や、Googleアシスタントの言語理解システムを支えているのと同じディープラーニング技術を活用できるようになっています。
Natural Language APIを利用すると事前の学習に必要なトレーニングデータセットの保存や管理にかかる時間や費用を気にすることなく、NLPを搭載したアプリの作成が可能です。
価格は、エンティティ分析、感情分析、構文分析、エンティティ感情分析の4つの料金プランで構成され、5000ユニットまではそれぞれ無料で利用でき、それ以上は利用量に応じた料金が設定されています。
料金詳細はこちら:https://cloud.google.com/natural-language/pricing?hl=ja
IBM Watson Natural Language Understanding
IBM Watson Natural Language Understandingは、通称Watsonで呼称され、莫大なデータを取り扱えることが特徴です。学習するデータ量が増加するごとに難易度の高い文章を理解し、回答できるようになります。
文書の分析、概念、エンティティ(実体)、キーワード、区分、評判、感情、関係、意味役割などのメタデータをコンテンツから抽出します。
汎用的な学習済みのモデルが用意されているため、導入する企業自身がAIの学習を行わなくても分析を始めることができます。
価格は無料で利用できる評価版が30,000項目まで利用可能で、以降は項目数ごとに価格が変動します。
料金詳細はこちら:https://www.ibm.com/jp-ja/cloud/watson-natural-language-understanding/pricing
Amazon Comprehend
Amazon Comprehendは、プログラミングなしで直感的に自然言語処理を利用できるサービスでき、自然言語処理をアプリケーションに組み込むことでテキスト解析や分析機能を簡単に実装できます。
カスタムエンティティ認識、カスタム分類、キーフレーズ抽出、感情分析、エンティティ分析がAPI経由で実行できます。
価格は、利用する機能と10Mユニット単位で料金が設定されています。
料金詳細はこちら:https://aws.amazon.com/jp/comprehend/pricing/
まとめ
AIツールでもよく利用されているAIモデルの構築、画像認識、自然言語処理の3ジャンルでそれぞれオススメのサービスと特徴を解説しました。
海外製のツールだけでなく、日本の国産のAIツールも増加しています。「ノンプログラミング」でプログラミングの知識がなくとも利用ができ、APIを利用することで自社のサービスに簡単にAIの技術を連携することが可能です。
エンジニアの工数の軽減に繋がり、工数やコストもスモールスタートが可能なことから、今後もAPIを利用して、AIツールを組み込んだサービスがどんどん増えていくことが予想されています。
本記事で紹介したような各種ツールの特徴やポイント、価格などの比較ポイントをもとに自社に最適なAIツールの導入や検討をしてみてはいかがでしょうか。