AI導入方法を4ステップに分けて解説!事例から学ぶ失敗しない秘訣とは?

おすすめAI開発ツールを目的別に紹介!選び方や導入するメリットも解説

人手不足の解消や業務効率化など、さまざまなメリットがありAIを導入する企業が増えています。

ただ、AI導入は失敗するケースもあるため、得意分野を把握し導入目的や費用対効果が得られる予算設定などが重要です。

今回のテーマはAI導入方法。

AIの開発を検討している方、導入方法を知りたい方の参考になれば幸いです。

AI(Artificial Intelligence)とは

AI(Artificial Intelligence)とは

AIはArtificial Intelligenceの略で、明確な定義はなく人間の思考プロセスを再現したコンピューターを指します。

人間同様、学習が可能でインプットしたデータにもとづき、命令の実行や質問への回答をする仕組みとなっています。

AIの学習プロセスは、機械学習や深層学習(ディープラーニング)と呼ばれ、音声の認識、画像の特定、予測などを行うためにとても重要なプロセスです。

ちなみに、機械学習とはデータ分析手法の一つで、機械がデータをもとに学習してパターンやルールを発見する方法を指し、大きくわけて学習と推論の2つのプロセスがあります。

学習は機械がパターンやルールを発見すること、推論は学習した機械にデータを入力し、正確に学習がされているかを確認することです。

また、深層学習も機械学習の一つで、コンピューター上に人間の脳を再現した仕組みを使用し行います。

機械学習は以下3つの手法がありそれぞれ特徴が異なります。

教師あり学習 正解データをインプットし、そのパターンやルールを学習する方法。
教師なし学習 大量のデータをインプットし、そのデータの中でパターンやルールを分析し、学習する方法。
強化学習 データのインプットはせず、AIが最適な行動をする方法を模索する課程で学習する方法。

AIの精度には、機械学習の質が大きく影響するため非常に重要です。

ここからは、AI技術の種類や導入事例について詳しく解説します。

AI技術の種類
AIの導入事例

AI技術の種類

AIは大きくわけると「汎用型」と「特化型」の2種類に分類されます。

汎用型は、人間の知能を完全に再現し行動するAIで、SF映画に出てくるアンドロイドなどが該当。

ちなみに、現時点の技術では汎用型AIの開発はできないといわれています。

特化型は、ある特定の分野に強みをもつAIで、以下分野の特化型AIが存在します。

画像認識 画像に映る人や物を認識する技術をもったAIで、セキュリティや顔認証システム、工場の異常検知システムなどに活用されています。
音声認識 音声を解析しテキストデータなどに変換するAIで、議事録作成や翻訳、異音検知などに活用されています。
自然言語処理 音声やテキストデータなどを分析する技術をもったAIで、自動翻訳やチャットボット、音声対話システムなどに活用されています。
近年話題のChatGPTも自然言語処理AIが活用されています。
機械制御 機械を制御し自動運転などをするAIで、とくに人手不足が叫ばれる建設業や製造業などで活用されています。
自動車の自動運転などにも機械制御AIが活用されています。

上記の通り、AIと一言でいってもさまざまな種類があります。

また、例えば自動運転は機械制御と画像認識など異なるAIを組み合わせて成り立っており、導入する際は自社にどのAIが必要かを適切に見極める必要があります。

≫≫ AI(人口知能)とは?基礎概念から仕組みや種類まで徹底解説

AIの導入事例

AIを導入すれば、人手不足の解消や業務効率化などさまざまなメリットがあり、導入する企業が増えています。

実際に、日本IBM社が2022年7月12日に発表した「世界のAI導入状況 2022年(Global AI Adoption Index 2022)」によれば、調査した企業のAI導入率は35%を記録しました。

日本でも多くの企業がすでにAIを導入し成果を出しており、具体的な事例としては以下があげられます。

医療法人社団ミッドタウンクリニック

東京都港区にある人間ドックや健康診断などの予防医療から内科・皮膚科・整形外科の保険診療までを提供する総合医療施設です。

東芝デジタルソリューションズ社と東芝社が共同開発した「疾病リスク予測AIサービス」を導入。

疾病リスク予測AIサービスは、1年分の健康診断データをもとに6年先における以下の6大疾病のリスクを予想できるもので、より具体的な健康指導に役立てています。

◾️|糖尿病
◾️|肥満症
◾️|高血圧症
◾️|肝機能障害
◾️|腎機能障害
◾️|脂質異常症

社会福祉法人和光会

岐阜県岐阜市を中心に地域の医療、介護や障がい支援・発達支援・子育て支援などの総合サービスを提供している企業です。

シーディーアイ社が開発したケアデザイン人工知能「CDI Platform MAIA」を導入し、利用者の自立をサポートしています。

CDI Platform MAIAは、自立支援型ケアプランの作成を支援する日本初のAIで、例えば以下の機能があります。

◾️|介護が必要な方の状態入力
◾️|プランの作成・提示
◾️|介護が必要な方の容態の予測
◾️|プランの比較検討 など

株式会社横浜銀行

神奈川県を中心に活動している銀行です。

金融犯罪が複雑化・巧妙化している現状を鑑み、NEC社が開発した「AI不正・リスク検知サービス for Banking」を導入しました。

金融機関では、膨大な情報から不正を検知する必要がありますが、口座数が多く人の手ですべて確認するのは困難です。

AI不正・リスク検知サービス for Bankingを利用すれば、銀行員が調査する口座数を絞れるため、負担を減らすのに成功しました。

東京海上日動火災保険株式会社

東京都千代田区に本社を置く大手の損害保険会社です。

下記を分析し、生命保険や損害保険など、保険の種類を超えた提案をするためにAIを導入しました。

◾️|年齢
◾️|職業
◾️|試算業況
◾️|保険への考え方
◾️|アンケート結果 など

具体的には、PKSHA Technology社とAIを共同開発し、これまで蓄積したデータを分析した上で、生命保険5種類、損害保険9種類から提案プランをAIで作成しています。

AIを導入する以前は、提案プランを検討するにあたり、社員同士で40分程度の打ち合わせをしていましたが、AI活用で数分へ大幅短縮しました。

プラン作成が効率化できた分、顧客の相談に向き合う時間を確保し、価値提供の向上につなげています。

野村不動産株式会社

東京都新宿区に本社を置く総合不動産ディベロッパーです。

顧客からの不動産に関する質問に答える「AI ANSWER」を導入し、購入や売却をサポートしています。

AI ANSWERは、以下の不動産に関するさまざまな質問に回答でき、24時間対応可能です。

◾️|購入
◾️|売却
◾️|仲介
◾️|相場価格 など

鹿島建設株式会社

東京都港区に本社をおく大手総合建設会社で、ロボットを活用し負担の大きな単純作業の効率化を行っています。

具体的には、人間ではできない下側からの上向溶接をロボットで行い、溶接の品質と性能が大幅に向上し、工程が短縮したため従業員の負担も軽減しました。

また、2021年に危険予知活動AIである「鹿島セーフナビ(K-SAFE)」を開発・導入しました。

鹿島セーフナビは、厚生労働省が職場のあんぜんサイトに掲載している災害事例をAIが分析し、類似している作業の災害事例を見える化するものです。

作業の災害事例を見える化し、危険予知に貢献しています。

≫≫ AIを活用した画像認識とは?仕組みから活用事例まで徹底解説

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AIを導入する4つのステップ

AIを導入する4つのステップ

実際にAIを導入するためには、何をしたら良いのでしょうか。

ここからは、AI導入における以下4つのステップについて詳しく解説します。

 1. AI導入で何が実現できるのか把握する
2. 課題と目的を明確化し課題解決にAIが必要かを精査する
3. 予算を決めAIツールを選定する
4. AI導入・学習の開始

1. AI導入で何が実現できるのか把握する

AIと一言でいっても、種類や活用方法など、できることはさまざまです。

また、AIは万能ではなく得意分野不得意分野が存在し、現状の技術で開発したAIはあくまで学習データをもとに、アウトプットするものです。

まずは、どのAIで何が実現できるかを把握しましょう。

最近はインターネットや書籍で簡単に情報収集ができます。

また、AI導入を支援する企業も多く存在するため、一度相談してみるのも良いでしょう。

≫≫ AI(人工知能)のメリットやデメリットについて徹底解説!活用方法を徹底解説

2. 課題と目的を明確化し課題解決にAIが必要かを精査する

続いて、課題と目的を明確化し、課題解決にAIが必要かを精査します。

課題解決や目的達成方法はAIの利用だけでなく、例えばオペレーションの変更やITツールの導入など多種多様に存在します。

AIの開発・導入には多額のコストがかかるため、そもそもAIで解決できるか、AIが最善策かを検討しましょう。

3. 予算を決めAIツールを選定する

次に、予算を決めAIツールを選定します。

課題と目的を達成した際に、どの程度のコスト削減ができるか、利益が増えるかを算出し予算を決めるのが重要です。

AIを導入しても費用対効果がなければ意味はありません。

また、予算を検討する際は開発・導入コストだけでなく、ランニングコストも計算に入れましょう。

AIは開発して終わりではなく、定期的な再学習やメンテナンスが必要で、その際にもコストがかかります。

さらに、ツールを選択する際は、複数の会社に相見積もりを取るがおすすめ。

相見積もりを取れば、コスト相場がわかり最適な企業に依頼できるだけでなく、値段交渉なども可能になります。

≫≫ AI導入にかかる種類別の費用相場とコスト削減につながった事例を解説

4. AI導入・学習の開始

AIツールを選定したら、いよいよ開発し現場に導入するステップです。

AIの精度を高めるための機械学習には、大量のデータが必要になるため、準備しましょう。

また、前述の通り導入後も定期的に最新データを活用し、再学習する必要があります。

定期的な学習をしなければ、AIの精度が高まらず、またアウトプットデータも陳腐化し活用できません。

AI導入で失敗するケース

AI導入で失敗するケース

AIの開発・導入には多額のコストがかかりますが、必ずしも成功するわけではありません。

ここからは、AI導入で失敗する以下のケースについて詳しく解説します。

目的が明確になっていない
AIの対応を範囲を理解していない
費用対効果を考慮してツールの選定ができていない

目的が明確になっていない

目的が明確になっていないにも関わらずAI導入をすると、失敗する可能性があります。

AI導入は目的ではなく、あくまで課題解決や目的達成をするための手段でしかありません。

先ほどお伝えした通り、企業のビジネスをサポートし目的を達成するための選択肢は複数あり、何が最適であるかを判断するのが大切です。

手段と目的が混同しないようにご注意ください。

AIの対応を範囲を理解していない

AIの対応範囲を理解していないケースも、AI導入の失敗につながります。

現状の技術で開発できるAIは、得意不得意があり万能ではありません。不得意な分野にAIを活用したり、導入するAIを間違えたりすると、期待する効果が出ないため、注意しましょう。

費用対効果を考慮してツールの選定ができていない

費用対効果を考慮せずにAIを導入するのも、失敗する一つの要因です。

AI開発は多額のコストがかかり、数千万円〜数億円程度といわれています。既存のAIを利用すれば開発コストが安くすみますが、自社用に開発する場合、要件が複雑になればなるほど開発コストが増加します。

また、前述の通り開発して終わりではなく、定期的にメンテナンスや再学習用のコストが発生。

場合によっては、追加で人を採用したり、仕事を外注したりするコストの方が安く済むケースもあるでしょう。

検討しているAIを導入した場合、費用対効果が得られるかを試算し判断するのが重要です。

≫≫ おすすめAI開発ツールを目的別に紹介!選び方や導入するメリットも解説

まとめ

まとめ

本記事では、AIの概要や導入する4つのステップ、AI導入で失敗するケースについて詳しく解説しました。

現状の技術で開発できるAIは万能ではなく、得意不得意が存在します。

また、AIと一言でいってもさまざまな種類があり活用方法も多種多様です。

AI導入を成功させるためには、AIの得意分野を理解するとともに、導入目的や費用対効果が得られる予算設定などが重要です。

まずは、自社課題の棚卸しと、AIに関する情報収集から行いましょう。

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