業務改善や人手不足の解消を目的にAI導入を検討する会社が増えています。
ただ、一言でAIといっても画像認識や需要予測、エッジAIなどさまざまなものがあり、開発を手がける会社の得意分野も異なります。
今回のテーマはAI開発会社。
AI開発を依頼しようと考えている方の参考になれば幸いです。
AI（人工知能）開発会社の選び方のポイント
前述の通り、AIと一言でいってもさまざまなものがあり、自社に適したものを導入するのが重要です。
また、開発を手掛ける会社により強みや特徴が異なるため、会社選びは非常に大切。
ここからは、AI開発会社の選び方におけるポイントについて詳しく解説します。
≫≫ AI（人口知能）とは？基礎概念から仕組みや種類まで徹底解説
AI開発会社の得意領域を把握する
AI開発の費用相場を把握する
AIを開発する目的を明確にする
AIの利用方法はさまざまあり、どのようなAIをどのように活用するかで解決できる課題が異なります。
まずは、AIを導入する目的や解決したい課題を明確にする必要があります。
導入の目的や解決したい課題が明確でなければ、開発会社も見積もり提示が困難です。
また、明確にすれば本当にAIを導入すべきか否かの判断もできます。
目的達成や課題解決の方法はAIだけでなく、場合によっては他の手法で解決できるケースもあるでしょう。
AI開発会社の得意領域を把握する
AIの導入目的や解決したい課題が明確になったら、その分野に強みを持つAI開発会社をリサーチします。
AIはさまざまな種類があるため、開発会社も手掛けている領域が異なります。
中には領域を問わない総合型の会社もありますが、得意領域を持つ特化型会社の方が、質の高いものを開発してくれる可能性が高いでしょう。
AI開発の費用相場を把握する
相場を把握しておくのも大切で、費用相場も参考にして依頼する会社を選ぶと良いでしょう。
工程別の相場目安は下記の通りです。
| 項目 | 金額 |
| ヒアリング | 0円 |
| 要件定義 | 40～200万円 |
| AI化可能性チェック | 40～100万円 |
| プロトタイプ作成（PoC） | 100万円～ |
| AIモデル開発 | 月額80～300万円×人月 |
| システム開発 | 月額60～200万円×人月 |
開発するAIが複雑になればなるほど、高度な知識やスキルを有する人材が複数名必要になり、費用が高くなります。
画像認識AI開発に強い会社
画像認識AIは、言葉通り画像に映る人や物を認識する技術をもったAIで、例えば以下に使われています。
◾️｜セキュリティ
◾️｜顔認証システム
◾️｜自動運転のブレーキシステム
◾️｜工場などの異常検知システム など
ここからは、画像認識AI開発に強い以下の会社について詳しく解説します。
≫≫ AIを活用した画像認識とは？仕組みから活用事例まで徹底解説
Cotofure株式会社
ネットフォース株式会社
株式会社Ridge-i
ブローダービズ株式会社
株式会社AVILEN
AVILENは、画像認識AIだけでなく例えば下記のような複数事業を展開する会社です。
◾️｜AI人材育成
◾️｜AI資格対策講座
◾️｜AIメディア など
豊富な知識やスキル、経験を有するメンバーが在籍し、顧客の課題解決をサポートしています。
画像認識で図面解析を行う正確性は99.5％、帳票入力は99.9％の実績があり、信頼性にも定評があります。
Cotofure株式会社
Cotofureは、画像処理を活用したさまざまなAIサービスを提供している会社で、具体的には以下が挙げられます。
◾️｜モザイク
◾️｜顔認証システム
◾️｜ennbed など
また、画像処理AIだけでなく、OCRや音声認識などのAI開発も可能。
AI以外のサービスも提供しており、いろいろな課題解決をサポートしてくれます。
ネットフォース株式会社
ネットフォースは、情報通信機器の販売やITテクノロジーの研究・開発を手掛けている会社です。
顧客が保有する画像データをもとに、画像認識AIの導入サポートサービスも行っています。
導入サポートサービスの内容はさまざまで、データの収集・加工や簡易診断も実施。
現場へAIを導入するサポートもしてくれるため、効果的なAI活用ができるでしょう。
株式会社Ridge-i
Ridge-iは、AI開発・活用や大手企業との共同事業など、いろいろな事業を展開している会社です。
最新のAI技術と既存の技術の融合や、人が行う業務とのバランスも調整しながら課題解決するAIを開発しているため、各企業にあったAI開発が実現するでしょう。
また、ただ単に開発をするだけでなく、コンサルティングで課題の分析や整理も実施し、より効果的なAIを開発。
画像認識AIにおいては、ゴミ焼却を効率化するものや、製品の傷・汚れなどを検知するものなどを開発した実績があります。
ブローダービズ株式会社
ブローダービズは、豊富な知識やスキルを有したメンバーが中心となり設立された会社です。
画像認識AIの開発に強みをもち、侵入者検知監視カメラや見守りシステムなどを提供しています。
画像や映像の顔認識だけでなく、性別や年齢予測を行う技術の開発に取り組んでおり、今後さらに利用できるシーンが増えるでしょう。
需要予測AI開発に強い会社
需要予測AIは、天気や来客数、商品の販売数などの過去実績データをもとに、将来需要を予想するものです。
生産数や仕入れ数などの調整ができ、無駄を減らせます。
ここからは、需要予測AI開発に強い以下の会社について詳しく解説します。
≫≫【2023年最新】AIデータ分析ツールのおすすめ10選！機能比較と使い方を徹底解説
株式会社スカイウイル
株式会社Liaro
株式会社KICONIA WORKS
株式会社ダイナミックプライシングテクノロジー
エッジテクノロジー株式会社
エッジテクノロジーは、アパレル業や製造業を中心に需要予測AIの開発を手掛けている会社です。
AI開発や実装、ビッグデータの解析・活用における豊富なノウハウを保有し、多くの実績があります。
また、開発だけでなく、以下の事業も展開しさまざまな要望に応えてくれるでしょう。
◾️｜法⼈研修
◾️｜AIスクール
◾️｜ビッグデータ解析コンサルティン
◾️｜AIプラットフォームの販売 など
株式会社スカイウイル
スカイウイルは、需要予測AIやビッグデータに関するアプリの開発を行っている会社です。
展開する事業は複数あり、AI開発だけでなく例えば以下があります。
◾️｜インフラやクラウドの構築
◾️｜ITコンサルティング
◾️｜アプリケーションの開発
◾️｜マーケティングサービス
◾️｜テクニカルサポート
もともとWebアプリなどを各顧客にあわせ開発していた会社であるため、そこで得たノウハウや知識、スキルを豊富に有しています。
また、顧客には大手企業が多く信頼性の高さもうかがえます。
株式会社Liaro
Liaroは、機械学習や深層学習を活用し顧客にあわせた需要予測用AIの開発を行っている会社です。
開発だけでなく、導入後のサポートも行い現場で利用できるAIを提供しています。
欠品による機会損失を抑えたり、廃棄ロス、フードロスを削減したりするのに役立ち、仕入れ数や生産数の調整ができるでしょう。
また、拡張性にも優れておりロスの削減だけでなく、来客の要因分析や価格設定に関する参考情報も導けます。
各顧客にあわせたAIを開発するため、自社に役立つソリューションを提供してくれるでしょう。
株式会社KICONIA WORKS
KICONIA WORKSは、少人数ながら豊富な開発実績をもち、多くのAI開発ノウハウを有する会社です。
AI開発だけでなく導入コンサルティングも提供しているため、何からはじめたら良いかわからない企業も安心です。
顧客の課題に真剣に向き合い、コストを抑えスピーディーにAI開発をしているのも魅力の一つ。
需要予測AI開発を強みとしており、正確性の高い需要予測モデルを開発し、発注やシフト作成の効率化、材料調達・出荷リードタイムの短縮を実現しています。
また、開発するのは需要予測AIだけでなく、画像認識や自然言語処理などのAI開発も行っているため、さまざまな相談ができるでしょう。
株式会社ダイナミックプライシングテクノロジー
出典：株式会社ダイナミックプライシングテクノロジーホームページ
ダイナミックプライシングテクノロジーは、ダイナミックプライシングシステムの開発に特化したサービスを提供している会社です。
ダイナミックプライシングとは、需要に応じて価格を変更し利益の最大化を図る手法で、ホテルなどに取り入れられています。
コンサルティングにより、顧客の課題を発見しその解決に向けたAI開発をしているため、より効果が出やすいでしょう。
また、あまりコストをかけられない会社向けのパッケージソフトも提供しており、ECサイトなどで利用されています。
研究にも力を入れているため、今後さらに高機能なAIの開発が期待できます。
自然言語処理AI開発に強い会社
自然言語処理AIは、音声やテキストデータなどを分析する技術をもったAIです。
以下に使用されており、近年話題のChatGPTも自然言語処理AIに該当します。
◾️｜自動翻訳
◾️｜チャットボット
◾️｜音声対話システム
◾️｜テキストマイニング
◾️｜検索エンジン
◾️｜かな文字変換予測 など
ここからは、自然言語処理AI開発に強い以下の会社について詳しく解説します。
BASIS TECHNOLOGY
株式会社テクノフェイス
SELF株式会社
株式会社ヘッドウォータース
株式会社Ales
Alesは、大学と協力し独自性の高いAI開発を行っている会社で、自然言語処理AIの分野において、以下の活動を実施しています。
◾️｜研究や開発
◾️｜コンサルティングなどの企業への導入支援サポート
◾️｜基礎知識が学べる講座の運営 など
映画やドラマで活用するストーリーを作成ができるAIの開発も目指しており、その課程で開発したソリューションを顧客に提供しています。
BASIS TECHNOLOGY
BASIS TECHNOLOGYは、世界中に拠点を構え複数言語の文章や、非構造化のデータをAIで分析するソフトウェア開発を手掛ける会社です。
自然言語処理AIでは、レビューやSNSの投稿などのテキストデータを解析し、顧客やその製品に関するテキストから感情を分析するものなどを提供しています。
また、感情だけでなく危険を予測するAIもあり、詐欺の手口などを発見。
近年は、インターネットやSNSなどがきっかけで犯罪につながるケースも多いため、政府や情報機関でも利用されています。
株式会社テクノフェイス
テクノフェイスは、以下のようなさまざまな事業を展開する会社です。
◾️｜AIの研究開発、インテグレーション
◾️｜クラウド
◾️｜モバイルアプリ
◾️｜業務データ分析
◾️｜技術コンサルティング
◾️｜システム構築、保守、運用 など
AI開発では、画像認識、自然言語処理、時系列予測などに携わり、特に自然言語処理の領域を得意としています。
自然言語処理では、チャットボットAIやフレームワーク、文書生成エンジンなどを開発。
過去には、コールセンターでデータ活用をするためのコミュニケーションAIや、サポート業務向け対話エンジンも開発しました。
地域活性化のために、高度なスキルを有した人材の育成にも力をいれ、地域の発展に貢献しています。
SELF株式会社
出典：SELF株式会社
SELFは、一人ひとりのユーザーに対して最適な情報を自動で提案するAIの開発を手掛ける会社です。
とくに、自動接客やコミュニケーション、メンタルヘルスなどの分野でAI技術が利用されており、ユーザーとのやり取りにもとづき性格などを理解、最適な情報の提案ができます。
具体的には「SELF LINK」や「SELF TALK」などの事業を展開。
SELF LINKは、自動接客をする情報提供AIシステムで、ユーザーの要望をスピーディーに把握し、商品の提案を行います。
また、SELF TALKはユーザーに情報を伝えるAIシステムで教育やヘルスケアなどの分野で活用されています。
株式会社ヘッドウォータース
ヘッドウォータースは、音声対話チャットボットや文章解析AIサービスなど、さまざまなシステム開発実績を有する会社です。
クライアントの要望に応じ、AI開発から運用までワンストップでサポートしています。
また、開発だけでなく自社サービスも展開しており、例えば以下が挙げられます。
◾️｜SyncLect NLP
高度な機械学習モデルを活用したテキストデータなどを分析できる文章解析サービス
◾️｜SyncLect Personalize
ユーザーの価値観を解析するパーソナライズAI
また、Pepperのリーディングカンパニーで、アプリ開発にも携わっています。
エッジAI開発に強い会社
エッジAIとは、AIを車や家電などのデバイスに搭載し、そのデバイスで処理を行うもので製造業のロボットなどに活用されています。
ここからは、エッジAI開発に強い以下の会社について詳しく解説します。
LeapMind株式会社
株式会社フツパー
ReVision株式会社
EDGEMATRIX株式会社
株式会社XAI
XAIは、「テクノロジーによるビジネス価値の継続的な創出」という思いを掲げ、顧客の課題を解決するために以下の事業を展開している会社です。
◾️｜AI導入支援コンサルティング
◾️｜AIシステム開発、運用環境構築
◾️｜内製化支援
顧客の課題にあわせた最適なソリューションを展開し、課題のヒアリングや整理からアドバイス、AI開発までをトータルサポート。
とくに、モデルを軽量化する分野に強みを持ちエッジAIなどが得意領域です。
また、深層学習を取り入れた画像処理も得意分野で以下も行っています。
◾️｜物体検出や追跡
◾️｜姿勢推定
◾️｜広告の自動生成
◾️｜センサーデータなどの解析 など
LeapMind株式会社
LeapMindは、超低消費電力AI推論アクセラレータIP「Efficiera」の開発など、複数の事業を営む会社です。
極小量子化という独自の技術を持ち、画像認識などに活用されています。
また、エッジAIで活用する小さく低電力で活用できるチップ作成を支援し、家電や自動車などに組み込まれています。
家電や自動車以外の分野での活用も期待されており、今後さまざまな分野でのエッジAI活用が期待できるでしょう。
株式会社フツパー
フツパーは、製造企業など向けに画像認識をするエッジAI開発を行っている会社です。
労働人口の減少に伴い従業員が不足している企業も多いため、人手不足の解消や業務効率化により産業・地域社会の活性化に貢献するのも目的に活動しています。
具体的には、人の目でチェックする業務を担う画像認識エッジAIであるHutzper Visionや、エッジAIに特化したSaaSでAI導入後の支援をするHutzper Insighを提供しています。
AIは一度導入して終わりではなく、導入後のサポートも重要。
Hutzper Insighは、月額制かつ低コストであるため利用しやすいでしょう。
ReVision株式会社
ReVisionは、ドローンに関する以下サービスを展開し、ドローンにおけるエッジAIも提供している会社です。
◾️｜ドローン空撮、点検、測量
◾️｜ドローンWEBメディア運営
◾️｜ドローンプロモーション など
ドローンのエッジAIは、橋梁やトンネルなどのインフラ点検を効率化する効果があります。
橋梁やトンネルなどの点検は、専門の人材に依頼したり、足場を組んだりするのに多くのコストが発生。
また、近年は建設業などの人材も足りず、よりコストが高騰する要因となっています。
ReVisionは、経済産業省から点検調査システム開発の委嘱を受けている会社であるため、信頼性も高いでしょう。
EDGEMATRIX株式会社
EDGEMATRIXは、現場の調査からエッジAIの導入、設置管理までを一社で手掛ける会社です。
エッジAIの領域における映像分析技術を中心に、スマートシティを作るためにいろいろな活動をしています。
サービスの一つであるEdge AI Boxは、屋内・屋外問わずさまざまな場所から大量の映像データをスピーディーにAIで分析・処理し、送付するデバイスです。
また、Webで手軽に利用できるエッジAIの実現に向けたデバイスなどのEDGEMATRIXサービスも提供しています。
AI（人工知能）開発会社に依頼する流れ
最後に、AI開発会社に依頼する以下の流れについて詳しく解説します。
相見積もりを取りAI開発会社を選定
要件定義と基本設計をAI開発会社と決めていく
課題と目的の明確化から予算を決める
まず、課題と目的の明確化から予算を決めます、
開発会社の選び方のポイントでも触れたように、課題解決手法はAIだけでなく、AIの開発は安いとはいえません。投資効果が見込めなければAI開発は避けた方が良いでしょう。
投資効果を試算するためにも重要なのが、課題と目的の明確化です。
課題と目的を明確化し、もしその課題を解決した場合削減できるコストや、目的を達成した場合得られる利益をもとに予算を算出しましょう。
相見積もりを取りAI開発会社を選定
続いて、相見積もりを取りAI開発会社を選定します。
相見積もりを取れば、もっとも低コストで開発してくれる会社を探せるだけでなく、費用相場がわかり、価格交渉もできます。
本記事を参考に、複数の会社から見積もりを取り、どの会社にするか検討するのがおすすめです。
要件定義と基本設計をAI開発会社と決めていく
依頼するAI開発会社を決めたら、要件定義と基本設計を行います。
基本的にはAI開発会社主導で行われますが、開発がはじまった後に仕様を変更すると追加費用が発生するケースがあるため、必ず要望を伝えましょう。
また、要件定義と基本設計の結果により詳細見積もりが提出されるケースもあり、投資効果も考えながら、どのようなAIを開発するか最終的な決定を行います。
自社で課題を洗い出しきれない場合は、導入に向けたコンサルティングを利用するのも有効です。
まとめ
本記事では、AI（人工知能）開発会社の選び方におけるポイントや、画像認識・需要予測・自然言語処理・エッジAI開発に強い会社、依頼する流れについて詳しく解説しました。
AIと一言でいってもさまざまなものがあり、開発を手がける会社の得意分野も異なります。
本記事を参考に、自社が求めるAIの開発を得意領域としている会社を選ぶのがおすすめです。
また、開発を依頼する場合は、まずAIの導入目的や解決したい課題の明確化を行いましょう。