【2024年】AI導入事例の最新10選!各業界での活用方法と成功事例を徹底解説

【2023年】AI導入事例の最新10選!各業界での活用方法と成功事例を徹底解説

近年、「AI」がよくニュースで取り上げられています。ChatGPTなど最新の技術を活用した「AIチャットボット」のアプリの提供も増加し、AIの活用が我々の生活の身近になりつつあります。

例えば、スポーツ観戦のシーンでは、AIの活用でサッカーのゴール判定やテニスのIN/OUTの判定が公平に行われるサービスも活用されています。

このように、私たちが知らないうちにAIの技術は利用されています。そこで、AIサービスの活用事例と、面白いビジネスモデルの事例を集めました。

AIに関する基本的な知識

AIに関する基本的な知識

AI(人工知能)とは、機械、特にコンピュータシステムによって人間の知能プロセスをシミュレーションすることです。

例えば、人間の認知機能に関連するタスク(音声の解釈、ゲームのプレイ、パターンの特定など)を行うことができます。

AIは、一般的なモデルでは膨大な量のデータを処理し、自らの意思決定のモデルとなるパターンを探しながら、その方法を学んでいきます。

多くの場合、人間がAIの学習プロセスを監督し、良い判断は強化し、悪い判断は制御や抑制します。近年のAIシステムの中には、人間の監督なしで学習できるものもあります。

例えば、ビデオゲームを何度もプレイして、最終的にルールと勝ち方を理解するようなモデルが当てはまります。

AIの仕組み
機械学習と深層学習とは

AIの仕組み

AIシステムは、大量のデータと反復処理アルゴリズムを組み合わせて、分析するデータのパターンや特徴から学習することで機能します。

AIシステムは、データ処理を実行するたびに、自身のパフォーマンスをテスト・測定し、さらなる専門知識を身につけます。膨大な数のタスクを極めて迅速に実行し、わずかな時間で多くのことを学びます。

AIは、人間の行動をモデル化できるコンピュータシステムを構築し、人間のような思考プロセスで複雑な問題を解決できるようにすることです。

この目的を達成するために、AIシステムは、一連の技術やプロセス、そして膨大な数の異なる技術を利用しています。

次の章で、AIでよく利用される機械学習と深層学習についてご紹介します。

≫≫ AI(人口知能)とは?基礎概念から仕組みや種類まで徹底解説

機械学習と深層学習とは

AIには、機械学習と深層学習という技術が近年一般に浸透しています。

機械学習は、ビッグデータと呼ばれる莫大なデータをAI自身が習得するモデルで、近年一般に浸透しつつあるモデルです。

機械学習には、「教師あり機械学習」「教師なし機械学習」「強化学習」などの分類もあります。

深層学習は「ディープラーニング」とも呼ばれ、機械学習の1種のモデルです。深層学習は、人間の行動の見本を見せてコンピューターに学習させるマシンラーニングの技術のことを指します。

機械学習と深層学習の詳細は以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。

≫≫ ディープラーニングと機械学習の違いとは?それぞれの特徴をわかりやすく解説

各業界のAI導入事例

各業界のAI導入事例

ここまでAIの基礎と代表的な仕組みについてご紹介しましたが、本章では各業界での具体的なAIの活用事例とツールをご紹介していきます。

医療業界
製造業
建築業界
物流業界

金融業界
小売業界

農業
水産業
マーケティング業界

スポーツ業界

医療業界

医療AIの活用方法で注目されているものに、画像から疾病の検出を行うことを支援するAIがあります。

エルピクセル株式会社の「EIRL(エイル)」シリーズは、AI利用した医療画像診断を支援するサービスを複数提供しています。胸部X線画像からは異常候補を検出したり、大腸内視検査中に大腸ポリープ候補を検出したり、医師がより正確で効率的に診断ができるよう支援しています。

医療業界においては、AIのみで判断するのではなく、医師の判断を支援することを目的としたサービスが普及してきています。

製造業

株式会社グリッドが提供する販売予測AIシステムは、オムロンヘルスケア社の受注量の予測に利用されています。グリッド社の「ReMom Plan」は予測振れ幅を考慮した受注量の予測ができるAIシステムです。

コロナ禍でサプライチェーンの混乱や半導体不足など需要の変動を適切に予測することが課題になっていた同社が、ReMon PlanのAI技術を利用することで、担当者による受注予測を策定時の誤差率の改善に繋げています。

このように人的には予測しづらい影響も、様々なデータから考慮し、予測に反映できるAIの強みを生かしたサービスは今後も増加することが予測されています。

建築業界

株式会社アラヤの建設機械の自動操縦は、クレーンや油圧ショベルなどの建設機械や、フォークリフトの操縦を自動化するAIです。

建設機械に、状況を把握するためのカメラ、センサー、レバー操作のモジュールを取り付けることで、AIの自動操縦を可能にしています。

自動化には、強化学習を利用したシミュレーションで試行錯誤し学習することで、模倣学習で熟練の技術者の手本となるデータを元に同等の操作を学習させて実現しています。強化学習は多くの時間を要すものの、人間以上の技術で操作できる可能性があり、模倣学習は短時間で人間と同程度の動きの実現ができます。

このように新入社員が熟練の技術者と同様の技術を習得するには時間がかかりますが、AIを活用することで同程度の動きを比較的短期間で実現できます。

物流業界

建築業界の事例でもご紹介したアラヤ社は、「InspectAI」というパッケージソフトをサービスも提供しています。

物流倉庫でストック量をカメラで画像認識し、AIが数量を測定するシステムで、AIの画像認識技術を利用し、必要な数量の算出から搬入計画へ落とし込んだり、現場全体や作業スペースを考慮した移動計画をしたりすることができます。

物流倉庫における業務は莫大なデータの集計や処理、予測分析で、AIに向いている業務とも言われています。物流業界は、人手不足が問題になっており、ドライバーの不足が深刻化しています。

過酷な労働環境の改善のためにAIによる配送ルートの最適化や、AIなどの新しい技術の導入による働き方改革で労力やコスト削減を行いその分をドライバーの賃金向上に回したりすることで環境改善が期待されています。

金融業界

ゆうちょ銀行は富士通のAIを導入し、社内向け問い合わせ対応業務の効率化によるオペレーターの負荷軽減問い合わせ件数削減を行っています。

ゆうちょ銀行は、各店舗で不明点があった際にパートナーセンターに各店舗の社員が問い合わせをするようになっています。

これまでは過去の問い合わせの履歴や蓄積されたナレッジを各店舗に共有ができていませんでした。そこで、AIチャットボットを導入し、FAQ形式で社内共有できるようにし、各店舗の社員が検索可能になったことで、問い合わせ件数の削減に繋がりました。

その他の銀行もAIチャットボットの導入が進められ、顧客対応や業務の効率化に利用されています。

小売業界

セブン&アイホールディングス傘下のイトーヨーカドーは、商品発注にAIを導入し、添付作業の省力化をしています。

1万5700の商品がAI発注の対象になっており、AIが価格や陳列棚数、天候、曜日、客数を分析しています。発注作業の時間はAI発注の導入後、30%削減し、営業時間中の欠品も27%削減でき、売上の改善人件費の削減に繋げています。

小売業においては、属人化しがちな業務を誰でも同じようにできるようにAIの導入で均質化を行ったり、在庫管理や商品の需要を予測したりすることで、生産性や労働環境の改善をする企業が増加しています。

お客様の利用シーンでは、AIによるレジの無人化が導入されるなど、利用者の混雑緩和や利便性の向上や、スタッフが別の業務に取り組む時間の創出を行っています。

農業

AGRIST株式会社はピーマンの自動収穫ロボット「L」を開発しています。

ピーマンの生産量日本一の宮崎において、収穫時に人手が足りないという地元の農家の課題から農業ロボットの開発が進められ、物体検出の機械学習モデルであるYOLOとNVIDIA Jetsonのロボットの技術を利用し、生い茂る葉の中からピーマンを探すための物体認識にAIを利用し、ロボットによるピーマンの収穫を実現しています。

このようなロボットとAIを組み合わせたスマート農業は、後継者不足に悩む農家の課題を解決する手段として開発が進められ、様々な品種の野菜の栽培や収穫において普及してきています。

水産業

水産業においても、「スマート漁業」が注目を集めています。ICT(情報通信技術)の活用でIoTやビッグデータを活用した効率化が図れています。

漁獲と小売の2つの面でAIの活用が検討され、宮城県松島市が漁業モデルとして注目を集めています。漁獲においては、データを元に獲りたい魚を獲ることを実現しています。

また、小売においては、首都圏の飲食店が、漁業者に直接、予約し、直送できるように連携が進められています。

漁獲においては、JAXAの海面水温の解析、降水量、水蒸気量などのデータ観測・監視データを水温分布図にし、漁船に情報を送信する水循環変動観測衛星「しずく」が活用されています。しずくの導入で、漁業が効率化され、結果的に日本国内で約15%の漁船燃油の削減に繋がっています。

マーケティング業界

マーケティングにおいては、データの分析が重要です。リモートワークの浸透やDX(デジタルトランスフォーメーション)の浸透で業務のオンライン化が進み、マーケティングデータ量が増加したことが課題に挙がりつつあります。

そこでAIを利用したデータ分析で、顧客の行動履歴データの解析を行い、顧客属性を分類することで、顧客ごとにオススメ商品訴求文言を変えるなど、パーソナライゼーションを行うことで、売上の向上が図られています。

大手通販サイトのAmazonも自社で研究開発し、自社のサービスに導入していましたが、2023年4月にはAWS(Amazon Web Service)ユーザー向けに「Amazon Titan」の大規模言語モデルを含むサービスの提供を開始しました.。

AWSは、Amazonの収益の約半分を占めるサービスで、同じくクラウドサービスを提供し、AIの開発にも積極的なGoogleなどへの顧客の他社への流出防止を図っています。

AWSは「Titan」のほか、他社のAIサービスとサーバーを連携できるAPIを「Amazon Bedrock」の名称で提供もあわせて開始しています。

また、マーケティング活動でアクセス解析よく使われるGoogle Analytics4でのAIの活用がされており、将来予測が可能となっています。Google Analytics4については以下の記事を参考にしてみてください。

ENAS MEDIA

GA4は2023年7月に完全移行となりました。GA4は将来的なユーザーの行動予測もでき、さまざまな機能がアップデートされ…

スポーツ業界

ソニーネットワークコミュニケーションズの「スマートスイミングレッスン」は、水泳を習う生徒が、レッスン後に自分の泳ぐ映像を確認できるシステムです。

対象の生徒を独自に開発されたアルゴリズムが自動で追い、複数のカメラの最適なアングルの動画を組み合わせて生徒ごとにAIが自動で編集します。

動画は、進級テストの映像を保護者も閲覧可能で、対象レーンの生徒以外には、モザイクがかかり、プライバシー配慮の設計も組み込まれています。

AIを導入するメリットと課題

AIを導入するメリットと課題

ここまで実際の利用企業やAIサービスの名称を上げて事例をご紹介しましたが、ここからはこれらのAIサービス利用におけるメリットや課題に挙がっているデメリットを解説します。

AI導入のメリット
AIが抱える課題

AI導入のメリット

AIの技術の活用には多くのメリットがありますが、ここでは日常やビジネスシーンなど身近なシーンでのメリットを6点ご紹介します。

1. 24時間365日稼働率

人間は休憩なしで働くことはできず、生産性は、1日のうち3~4時間程度しかないという研究結果もあります。

一方で、AIは休憩なしで延々と正確に行うことができます。

2. 危険リスクの低減・回避

AIのもう一つの大きな利点は、人間がAIロボットに任せることで、多くのリスクを克服できることです。爆弾の信管を外す作業のロボットによる代行は、人間が危険を回避することに繋がります。

3. 偏りのない意思決定

人間は感情で動く生物ですが、AIは感情を排除し、非常に実用的で合理的な検討ができます。これはAI利用における大きなメリットで、偏った見方をしないため、より正確な意思決定ができます。

4. 新しい発明・イノベーション

あらゆる分野において、AIが人間を助ける数々のイノベーションを生み出す原動力になっています。例えば、近年ではAIを活用した技術の進歩で、女性の乳がんをより早い段階で発見できるようになりました。

5. 雑務の代行

書類に不備がないかチェックしたり、お礼状を郵送したりと、私たちは日々の仕事の中で多くの繰り返し作業を行っています。AIを使うことでこうした雑務を効率的に自動化し、より創造的な仕事に集中できるようになります。

6. スマートフォンのアプリ

Google Maps、Alexa、Siriなど、様々なデジタルアシスタンスやアプリを活用し、メールの返信や検索などを行っています。AIを活用した技術を駆使することで、今日の天気や数日先のことも予測が可能です。

AIが抱える課題

AI導入で多くの作業の自動化や効率化を図れますが、一方で押さえておくべき課題やポイントがあります。AIの特徴と利用における注意点や今後のAIとの関わり方における懸念事項をご紹介します。

1. 高いコスト

人間の知能をシミュレーションできる機械を作ることは、多くの時間と資源を必要するため莫大な費用がかかることがあります。また、AIは最新化が必要なので、初期コストの他にメンテナンスにかかる費用も発生します。

2. 創造性がない

AIは、あらかじめ与えられたデータや過去の経験で時間をかけて学習できますが、既成概念を超えた考え方はできない欠点があります。

3. 失業率

これまで人間が対応していた仕事をAIができるようになり、失業者が増加する懸念があります。

4. 人間を怠け者にする

AIが面倒な反復作業を代行してくれることで、暗記したり、パズルを解いたりする必要がなくなり、私たち人間が思考しなくなる懸念があります。

5. 倫理観がない

倫理や道徳は人間社会において重要な要素です。しかし、AIには倫理を組み込むことは難しく、急速な進歩でAIが制御不能なまでに成長し、最終的に人類を絶滅させるのではないかという「シンギュラリティ」が懸念されています。

≫≫ AI倫理とは?AI技術の社会的影響と対策について

まとめ

まとめ

本記事では、AIの基礎概念や仕組み、利用におけるメリットとデメリットを解説しました。日本における実際のAIサービスの活用事例も、業界ごとに利用シーンや活用方法をご紹介しました。

AIサービスは、今後も我々の生活に浸透し、生活の利便性が向上することが予測されています。

一方で、デメリットでご紹介したように便利さが故の課題が今後増加していく可能性もあり、利用する人間自身がAIとの関わり方をより意識し、適切なシーンで利用する心がけが必要です。

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