最近IT界隈で注目されている「Chat GPT」を聞いたことがありますか?
Chat GPTの言葉は聞いたことがあっても、そもそも何なのか、何に使えるのか、無料でいつまで使えるのかなど、その仕様について気になっている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、ITに詳しくない方でもわかりやすくChat GPTをご紹介します。
Chat GPT(チャットGPT)とは?
Chat GPTは、非営利団体のOpen AIがオンラインカスタマーケア用に開発した「AIチャットボット」です。「Chat GPT」の読み方は「チャット ジーピーティー」で、人間が行うような応答をテキストで回答してくれます。
Chat GPTが、人間が対話するかのような応答をテキストでできる理由にその仕組みがあり、事前にAIが教科書や書籍、論文、ウェブサイトなどのテキストを偏ったデータにならないように訓練していることにあります。
これは、自然言語処理(NLP)の技術が利用されており、Chat GPTはその他にもディープラーニングの技術が利用されています。ディープラーニングは、コンピューターなどが大量のデータを習得し、分類するものです。
Chat GPTは、LINEと連携し無料で一般の方も利用することもできます。LINEでは、AIチャットくんというアカウント名で提供されており、回数制限などがあるものの無料でも利用ができます。
では、Chat GPTを開発した非営利団体のOpen AIがどんな組織か気になっている方も多いかと思いますのでご紹介します。
■|Chat GPT(チャットGPT)の特徴と利用料金
■|Chat GPT(チャットGPT)が注目される理由
Open AI(オープンエーアイ)について
OpenAIは、2015年にイーロン・マスクとサム・アルトマンによって設立され、カリフォルニア州サンフランシスコに本社を構えています。人類全体に利益をもたらす方法で人工知能(AI)を開発し、研究することを目的とした非営利の研究会社です。
OpenAIは、これまでのAIの不注意や誤用による大惨事の可能性があることを、創業者たちが懸念していたことから誕生しました。創業者2人と他の投資家は、10億ドルの寄付金で同社をスタートさせましたが、イーロン・マスクは、ニコラ・テスラに影響を受けた自動車およびクリーンエネルギー企業であるテスラでの仕事と衝突する可能性があるため、2018年2月に同社を去りました。
同社が掲げる目的に「人類の利益のために安全な人工一般知能の実現に取り組む」ことがあり、他の研究機関や個人と自由に共同研究することに反映されています。
また、同社が行った研究や特許は、安全性に悪影響を及ぼす場合を除き、一般に公開される方針です。
≫≫【2023年】OpenAIとは?高性能AI(人工知能)ChatGPTについて徹底解説!
Chat GPT(チャットGPT)の特徴と利用料金
Chat GPTの最大の特徴は、人間が行うような応答を、テキストボックスで生成することです。そのため、チャットボットやバーチャルアシスタントに向いています。Chat GPTはAIが情報や問い合わせに対して回答を行います。
Chat GPTの利用料金は基本的な機能は無料で利用ができますが、Chat GPTがリリースされてから、新しく「ChatGPT Plus」「Chat GPT Professional (Pro)」などのプランがリリースされ始めています。
ChatGPT Plus
2023年2月1日に有料のサブスクリプション版として「ChatGPT Plus」がアメリカでリリースされています。
価格は20ドル(日本円で約2,600円)です。ChatGPT Plusの無料版との違いとしては、アクセスピーク時に繋がりやすいこと、レスポンス(返答)速度が速くなること、新機能が優先的に使えることがあります。今後、アメリカ以外の国での提供も予想されています。
Chat GPT Professional (Pro)
「Chat GPT Professional (Pro)」もリリース準備中だと情報が出ています。
Chat GPT Professionalと無料版の違いとしては、高速な応答や無料版の2倍以上の回答数になることがあります。申込については、2023年3月現在キャンセル待ちの状態になっています。また価格は正式な発表はないものの、一部のProfessionalにアクセスできたユーザーの情報では月額42ドル(日本円で5,500円ほど)だと言われています。
現在、無料版のChat GPTは利用者が多く、アクセスが集中していることから返答速度や返答が不安定なことがあるため、ビジネスでの利用など高速で利用したいユーザーには有料版を利用するメリットが大いにあります。
まだ、公式な発表はないため今後の公式発表が注目されています。
Chat GPT(チャットGPT)が注目される理由
2022年11月30日、ChatGPTはプロトタイプとして公開され、すぐに注目を集めました。その理由としては、人間と対話して違和感のないコミュニケーションをする能力を持つことにあります。
ChatGPTは、首尾一貫した人間らしい回答を提供することからメディアの注目を集め、その結果、多くの人が知り、テストするようになりました。
ここまで注目を集め、利用者が増えたことには、私たち人間が機械と人間の言葉でコミュニケーションを取りたいという願望を自然な言語表現でChatGPTが実現していることにあります。
Chat GPT(チャットGPT)のさまざまな使い方
Chat GPTは、人間が行うような応答をテキストで回答してくれますが、その他にも以下のようなことができます。
2. 記事またはブログ記事を書く
3. 翻訳する
4. デバッグ(プログラム内のバグを見て受け、修正する作業)
5. ストーリー/ポエムを書く
これらのすべてが、チャットボットに入力するだけで回答が得られます。
ここでは、プログラミングのコードを書くことをWebサイトを作る場合になどに使うHTMLとCSSを使った依頼をChat GPTにしてみました。
表の背景色をグレーにし、5行2列の表をHTMLとCSSで書きたい。
1行目の文字だけ文字にし、果物と価格にしたい。
内容にはりんご120円、バナナ98円、牛乳140円、パン100円をいれたい。
そうすると以下の回答がありました。
回答があったコードを書くと、以下のような図を作成できます。
このように自分で調べなくてもChat GPTに尋ねるだけで、誰でも簡単にプログラミングのコードを書くことができます。
■|ニュースや小説などの自動文章生成
■|ルールベースのカテゴリー分け
■|ブレインストーミングや壁打ち相手
疑問の解消
疑問の解消は、「Chat GPTの仕組みは?」など調べたいものを入力するだけで、回答を提供してくれます。以下が実際にChat GPTに質問をした時の返答です。
例えば、Chat GPTは面倒な夕飯のメニューを考えることも手伝ってくれます。「3日分の献立と買い物リストを作って」と依頼すると、以下のようにメニューを提案してくれます。
このようにchat GPTは我々が知りたいことを質問し、自然な文章表現で回答をくれます。
カスタマーサポートなどのビジネスシーンの他、プライベートでの献立を考えたり、調べものをしたりすることを助けてくれる便利なAIチャットボットです。
ニュースや小説などの自動文章生成
ニュースや小説などの記事や文章の作成も可能です。
例えば、「さえない30歳男子が、翌朝目覚めると驚きの勝ち組になっていた小説を3500字で書いてください。」と送ると、オリジナルの文章を作成して、返答してくれます。
また、小説家や漫画家などが、作品を作る際にアイデアに悩んだ場合にヒントを提供してくれます。
上記の回答を見ると、多少依頼した意図とずれていることがありますが、指示をより明確化することと、今後Chat GPTが学習していくことで、精度がより向上することが予測されます。
また、小説などの他にビジネスシーンでは欠かせないメール文章の作成も可能です。
このように誰に何をなど、対象と目的を明確にすることで、精度の高い文章を作成してくれます。今回は、「上司」と入力したことで丁寧な文章がベースになっています。
一方で、文末に「敬具」が入るなど、現段階では一部堅すぎる文章表現が入るなど完璧ではない部分があります。
ただ、ある程度、人間が作成したかのような文章表現で作成はしてくれるため、一部表現を修正するだけで、メールを送れることから業務効率化にも利用できます。
ルールベースのカテゴリー分け
チャットボットには2種類あり、「シナリオ型(ルールベース型)」「機械学習型(AI型)」があります。
ルールベース型は、ある一定のルールに沿って回答をするチャットボットで、ユーザーから質問があると、Webサイトやマニュアル・FAQ(よくあるご質問)ページにある内容を元に回答します。企業のサービスページやカスタマーサポートに利用されています。
ブレインストーミングや壁打ち相手
Chat GPTはブレインストーミングやアイデアの壁打ちの相手にもなってくれます。例えば、ビジネスシーンで新規事業を検討する想定で質問を投げました。
このように戦略についてのアドバイスをしてくれます。
また、前提条件の価格についても見直しを提案するなど壁打ち相手としては、十分に利用ができます。
Chat GPT(チャットGPT)の仕組み
Chat GPTの仕組みは、先述した自然言語処理(NLP)と、ディープラーニングの技術の他に、さまざまな技術を利用し提供されています。
本章では、より詳しくChat GPTで採用されている仕組みや技術をご紹介します。
■|Chat GPT(チャットGPT)の学習方法 GPT-3
Chat GPTの採用技術
Chat GPTには、「ジェネレーティブAI」が使われており、他のAI(人工知能)と同様に過去のデータから学習しています。他のAIのようにデータを分類・識別するのではなく、その学習に基づいてテキストや画像、プログラミングコードなど、まったく新しいコンテンツを作り出すことができます。
Chat GPTは、テキストを取り込み、そこから人間のような応答を書くことから、大規模言語モデルと言われています。
2023年3月18日にOpenAIが発表した新型の「GPT-4」は、テキストだけでなく画像も認識できる「マルチモーダル(複数の種類や形式のデータに対応)」になりました。
例えば、これまでは「小説を書いて」と依頼し、テキストで文章を作成してくれましたが、今後は「さえない30歳男子」の画像を作成してくれるなど、挿絵まで作成が可能になります。
Transformer(トランスフォーマー)
Transformerは、ディープラーニング(深層学習)にジャンルされる技術です。2017年に発表された自然言語処理(NLP)の技術の中でもTransformerを活用した技術モデルの開発が行われています。Chat GPTや後述するBERTなどもTransformerの技術を活用しています。
近年の主要な自然言語処理(NLP)はTransformerが中心的な技術になっています。
Transformerができることとしては、Chat GPT同様にテキストの分析や分類ができ、長文の要約が可能です。
活用事例としては、書籍や法律文書などの長文の要約やレビューの分析やフェイクニュースやスパムの特定が可能です。また、Googleの検索の最適化にも利用されています。
BERT
BERTは、Google検索に活用しているAIの言語モデルです、BERTは「Bidirectional Encoder Representations from Transformers」の略で、Googleが開発している自然言語処理(NLP)の機械学習フレームワークです。オープンソースで、無償で一般公開されています。
特徴としては、言葉の意味を解析でき、文脈を理解することができることです。前後の文脈や、曖昧な表現も理解できるように学習されています。
学習の手法は、教師なしの手法で、莫大なデータセット(データの集合体)で事前に訓練し、入力された文字の文脈を理解するようにしています。また、事前訓練した後に、タスクに特化した教師ありのデータセットを学習させることで、文脈の理解度があがるように微調整されています。
GoogleがBERTを開発している理由としては、Google検索での文脈をより理解できるようになるからです。先述した自然言語処理のほかに、自然言語理解(NLU)、感情分析でAIを利用し、検索クエリのすべての単語を文中に使用しているすべての単語と関連させ、処理しています。
Googleは、BERTが文脈を理解できるようになったことで、アメリカの検索における10%に影響すると言及しています。また、BERTは、英語以外の言語も理解できるようになってきていることから、影響力は今後更に拡大することが予想されています。
深層学習
深層学習は、AI(人工知能)の学習技術の1つに機械学習があり、その中の1ジャンルが深層学習です。
深層学習は、人間が行う行動をコンピューターに学習させるML(Machine Learning)技術です。別称は、ディープラーニングと呼ばれています。
自己教師あり学習
教師あり機械学習の1種です。ラベルを付けたデータセットを活用し、データを分類したり、結果を正確に予測したりし、アルゴリズムを学習します。
データは、事前に正解のタグを付与し、その後は機械に新しいデータを提供して学習させながら、学習したラベル付けされたデータを元にデータを分類したり、結果を予測したりします。
Chat GPT(チャットGPT)の学習方法 GPT-3
GPT-1はOpenAIが2018年に発表しました。莫大なデータセットで訓練されています。
しかし、GPT-2は教師なしのマルチタスク学習器。GPT-1より大きなデータセットを使用し、さらに強力な言語モデルを学習するために、パラメーターの追加をしました。
Webテキストと呼ばれる数百万のウェブページからなる新しい大規模なデータセットを用いてトレーニングされています。GPT-3は、膨大なデータセットで事前に学習され、Pytorchフレームワークを用いて特定のタスク向けに細かく調整することができます。
人間が書いた記事と見分けがつかないような記事を書くことが可能で、数字の合計、SQLクエリやコードの記述、文中の単語のスクランブル解除、タスクの自然言語記述によるReactやJavaScriptコードの記述など、明示的に訓練されていないタスクをその場で実行することができます。
GTP-1,2,3においてもっとも大きな違いは、GPT-2は150億個、GPT-3は1750億個と、116倍以上のパラメータを搭載しており、この2機種の大きな違いはその大きさにあります。
各モデルの詳細な差異は以下です。
GPT-1 | GPT-2 | GPT-3 | |
パラメーター | 1億5000万 | 13億 | 1兆7500億 |
デコーダー層 | 12 | 48 | 96 |
文脈トークンサイズ | 512 | 1024 | 2048 |
隠れ層 | 768 | 1600 | 12288 |
バッチサイズ | 64 | 512 | 3.2 |
また、Chat GPTに尋ねた各バージョンにおける違いは以下の画像の通りです。
Chat GPT(チャットGPT)が与える社会への影響
Chat GPTが社会にもたらす影響に、教育やビジネスなどの様々なシーンでの既存の社会のモデルの変革が挙げられます。
教育のシーンでは、学習における検索のレベルが各段にあがることが予測され、こどもへの指導もAIで対応できる可能性もあります。
宿題を家庭で見る親は、これまでは回答集などを読んで理解し、こどもに教える必要がありましたが、これもChat GPTが代わりに実施でき、現在の負担が軽くなる可能性があります。
また、ビジネスシーンにおいては、先述したビジネスプランの壁打ち相手になることから、これまでコンサルタントに依頼していた内容も簡易的なものや基礎部分はChat GPTに投げるだけで解決でき、より高度な依頼のみ人間が対応するなどスキームの変化が出てくることが想定されます。
このようにChat GPTはさまざまなシーンでの既存のモデルの変革をしていくと予想されています。
■|Chat GPT(チャットGPT)を使用するうえでの注意点
Chat GPT(チャットGPT)が仕事の在り方を変える
OpenAIは、2023年3月14日にGPT-4を公開しています。公開されたGPT-4の動画では、その性能や使い方が紹介されています。GPT-3との違いとしては、画像の認識ができ、手書きのメモを分析し、プログラミングコードを書けるようになりました。
また、同じくOpenAIが公開しているDALL・E2は入力した文字を元に画像を作成してくれます。このように凄まじいスピードでサービスが向上しているChat GPTの技術を利用していくと、仕事の在り方が変化すると予想されています。
例えば、オリジナルの文章はコピーライターに、イラストはイラストレーターが作成していましたが、今後はすべてChat GPTが代行するといったケースも出てくるでしょう。
また、メール文の作成やその他の仕事の場面でも活用できることから、業務の効率化や業務モデルの変革に繋がり、現在の仕事の在り方を変えることが予測されます。
Chat GPT(チャットGPT)を使用するうえでの注意点
Chat GPTの回答は、小説の作成の章で説明したように本来の回答からずれて作成されたり、回答が誤っているケースもあります。Chat GPTのすべての回答が正しかはわからないため、回答を自身で検証した上で利用することが重要です。
また、Chat GPTの普及に伴い、悪用する人が出てくる可能性があります。例えば、オンライン試験での不正利用や、フェイクニュース作成での利用やサイバー攻撃での利用です。
このように便利なツールを利用した犯罪のリスクも今後あるため、情報を鵜呑みにせず自身で情報を精査し、判断することがより重要になってきます。
まとめ
Chat GPTは、2018年のGPT-1の公開から5年で目覚ましい速度で技術が進展しています。無料で一般の人も利用できることから、仕事のメール文の作成や夕飯の献立など考えるのが、忙しくて大変な時にサッとChatで投げると回答をもらえることから、今後も利用者が増加していくと予想されます。
ビジネスシーンにおいては、「Chat GPT Professional (Pro)」は現在キャンセル待ち状態で、注目を集めていることがわかっています。今後はChat GPTをベースにした便利なサービスがリリースされていくことが予想されます。
一方で、Chat GPTが提供してくれる回答は100%の精度ではないため、回答を精査し、正しい情報なのかを我々自身が検証したり、判断したりすることが重要です。便利なサービスが普及すると悪用する者も出てくるため、フェイクニュースや犯罪に巻き込まれないよう日頃から情報の正確性を判断することも重要です。